大阪地裁R7.4.24
運送会社が、大学生の求職者と面談。①業務内容として、会社から指示された荷物をエリア内の個人宅に配送すること、②配送時間は午前9時から午後9時であること、③毎朝、午前6時30分には営業所に出勤して、荷物の積み込み等をすること、④会社が作成する勤務シフトに基づいて就労すること、④配送1件当たり150円を支払うと説明。契約書は作成せずに就業を開始させた。のちにこの配送担当者が割増賃金を請求したところ、会社は業務委託契約であり労働契約ではないと反論した。
→配送担当者は、本件契約締結当時、学生であり、配送業務について全くの未経験者であった。会社から配送業務に使用する軽貨物自動車を貸与され、これを利用して配送業務に従事していたのだから、自己の所有する車を持ち込んで運送業務に従事する者とは異なり、一概に自己の危険と計算の下に業務に従事していたということはできない。そして、会社が作成した勤務シフトに従って、会社が指定した営業所の配送業務に従事していたのだから、仕事の依頼や業務従事の指示に対する諾否の自由はなかったと認められる。また、指定された担当のエリア・コース内を巡回して荷物を配送していたほか、会社の指示により、配送業務の前後に、荷物の仕分け作業や未配送の荷物を倉庫に戻し、その日の配送個数等の報告する作業を行っていた。会社から業務中に個別具体的な業務上の指揮命令を受けていなかったとしても、業務遂行に関する裁量はほとんどなく、時間的、場所的な拘束の程度も相当程度強いということができる。労働契約であると判断。