東京地裁R8.3.23
聴覚障害のある従業員が、100時間超の時間外労働で障害悪化と主張。 安全配慮義務違反だとして損害賠償請求
→従業員が担当していた業務量は過大なものではなかったが、非効率な作業等、業務遂行に問題があったことから、その時間は明確ではないものの、一定の時間外労働を行うようになっていたことは認められる。
これに対して、グループ長らは、早く帰宅するよう促していたほか、業務分担の変更等を提案していたが、従業員は、これに適時に応じなかった。
このような中で、会社は、体調不良も見られるようになった従業員に対して、時間外労働を3か月間禁止するのが相当であるとした産業医の意見も踏まえ、時間外労働禁止命令を発している。
このような一連の会社の対応は適切なものであり、これに素直に応じなかった従業員にこそ問題がある。
会社に安全配慮義務違反はないと判断。
企業側から見たポイント
裁判所は、一連の会社の対応は適切なものであり、素直に応じなかった従業員にこそ問題があると判示しました。このような踏み込んだ判示はなかなかないと感じます。
また、従業員が一定の時間外労働を行っていたことを認めながらも、その背景には、非効率な作業など従業員自身の業務遂行上の問題があったと認定しています。
企業側として参考になるのは、会社が、単に早く帰宅するよう指導するだけでなく、業務分担の変更など具体的な改善策を提案し、従業員がこれらに適時に応じず、体調不良も見られるようになったことから、産業医の意見を踏まえて時間外労働禁止命令を発していた点です。
従業員が会社の指導に従わず、長時間労働を続けている場合であっても、会社として必要な対応を尽くすことが求められます。
本判決は、具体的な対応を考えるうえで参考になる裁判例だと感じました。





