静岡地裁R6.5.23
漁業協同組合の売場係長が、約3年間にわたり、水揚げされたカツオを荷抜き(窃取)し、その分の水揚げがなかったことにして、他に転売していたことが発覚。逮捕・起訴された。漁協はこの係長を懲戒解雇し、退職金を不支給とした。
→退職金規程によれば、漁協が従業員に支払う退職金については、賃金の後払い的要素が強いとみることもできる。その場合、退職金全額を不支給とするには、それが当該労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な不信行為があることが必要である。この点、係長による荷抜きは、漁協の業務に関して窃盗を行ったというものであり、漁協に対する直接の背信行為であって、また大きく報道されて漁協の名誉及び信用を失墜させた。永年の勤続の功を抹消する重大な不信行為であるといえる。漁協が退職金を不支給としたことが裁量権の逸脱・濫用とはいえないと判断。