判例・裁判例コラム

会社はどこまで注意喚起すれば安全配慮義務を果たしたといえる?

福井地裁R3.5.11
従業員が工場で使用していた発がん性の薬剤が原因で膀胱がんを発症した。
→会社は安全配慮義務の具体的内容として、不浸透性作業服等の着用や、身体に薬品が付着した場合の措置についての周知を徹底し、従業員に遵守させる義務があった。本件では、会社が作業服を貸与し、薬品付着時は速やかに着替えをしたり、シャワー洗浄することを注意喚起していた。しかし、工場内が高温になる夏場は熱中症予防の観点から半袖Tシャツでの作業を容認し、薬品付着時の対応も繁忙時は徹底されていなかった。指導を行っていたことは認められるものの、これが従業員によって徹底されていなかった以上、義務を履行したとはいえず安全配慮義務違反。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    通勤中に立ち寄ったコンビニで転倒して負傷した場合の労災請求

    東京地裁R6.6.27出勤途中で立ち寄ったコンビニ内で転倒し、腰椎捻…

  2. 判例・裁判例コラム

    賃金減額について定める給与規程の不備

    東京地裁R5.1.11不動産会社が、給与規程において「同一等…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用における能力不足解雇
  2. 判例・裁判例コラム

    抑うつ状態で1年近く出勤しない職員の解雇が、仮に就業できない状態であったとしても…
  3. 判例・裁判例コラム

    能力主義的賃金制度導入の失敗例
  4. 判例・裁判例コラム

    小学校4年生の子を育てる看護師からの夜勤免除申請に病院は応じる義務を負うか?
  5. 判例・裁判例コラム

    懲戒解雇の理由はあとで追加できる?
PAGE TOP