判例・裁判例コラム

懲戒解雇の通知後に行った予備的普通解雇が無効とされた事案

東京地裁R3.6.25
職務怠慢やハラスメントを理由に従業員を懲戒解雇。その後、会社は弁護士に相談し、この従業員には懲戒歴がないため懲戒解雇は難しいことは承知しているが会社全体に与える影響から懲戒解雇に踏み切ったと弁護士に説明。これを受け、弁護士からは、普通解雇すべきと助言されたため、普通解雇もあわせて通知した。
→従業員の業務遂行に一定の問題があったとは認められるが、結局、本件普通解雇については、会社が懲戒解雇の効力を維持することが難しいと判断しながらも、解雇することに固執し、解雇以外の手段を検討することなく行ったものであることがうかがわれ、この点で社会通念上の相当性を欠くものといわざるを得ない。よって普通解雇も無効と判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    覚醒剤使用で懲戒解雇された従業員の退職金不支給についての判断事例

    東京地裁R5.12.19鉄道会社が覚醒剤使用で有罪判決を受けた車両検…

  2. 判例・裁判例コラム

    郵便局職員の制服への着替え時間は労働時間?

    神戸地裁R5.12.22郵便局職員の制服への着替え時間は労働時間?→…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    主治医は復職可、産業医は復職不可と診断した従業員の復職可否について裁判所が判断し…
  2. 判例・裁判例コラム

    送別会帰りのタクシーでのセクハラと会社の使用者責任
  3. 判例・裁判例コラム

    配転命令を受けた従業員からの職種限定合意の主張が認められなかった事例
  4. 判例・裁判例コラム

    協調性欠如などの問題がある従業員に本箱の書籍(段ボール121箱分)の移動作業を命…
  5. 判例・裁判例コラム

    管理監督者性が否定された場合は役職手当を固定残業代として扱う旨を定める規定の効力…
PAGE TOP