【名古屋高裁R6.9.12】
上場企業が平成22年1月1日から平成23年9月1日までの間に日系ブラジル人労働者らと6か月の有期雇用契約を締結。雇用契約書には「有期雇用契約社員就業規則による」と記載。
ところが、実際には正社員就業規則と準社員就業規則はあったが、有期雇用契約社員就業規則は作成されていなかった。
会社は平成23年11月3日になってようやく有期雇用契約社員就業規則を作成。
これに対し労働者らは、平成23年11月2日以前は準社員就業規則が適用されると主張。準社員就業規則に基づき支給されるはずの賞与が支払われていないとして会社に損害賠償請求した。
→準社員就業規則において準社員とは 「1年以下の期間を定めて雇用された者」と定義されている。 したがって、期間を6か月とする有期労働契約で雇用された本件労働者らにも、 文言上、準社員就業規則が適用されるというべきである。
これに対し、会社は、平成23年11月2日以前に準社員就業規則を適用することは認められないと主張する。確かに、本件では、雇用契約締結時に、会社と労働者らは準社員就業規則が適用されないことを合意し、契約書にも「有期雇用契約社員就業規則による」 と明記していた。しかし、文言上は有期雇用契約社員を排除することが明らかではない準社員就業規則が存在したうえ、就業規則作成義務を負う会社が長期間、 有期雇用契約社員就業規則を作成していなかった以上、会社の主張は採用できない。
もっとも、平成23年11月3日に会社が有期雇用契約社員就業規則を作成・ 周知。
よって、
・平成23年11月2日まで:準社員就業規則が適用される
・平成23年11月3日以降:有期雇用契約社員就業規則が適用される
と判断。 平成23年11月2日以前の賞与不支給について損害賠償を命じた。
この事案については1月19日に最高裁で弁論が予定されており、最高裁の判断が示される見込みです。
最高裁ウェブサイトには以下の整理が掲載されています。
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/jiangaiyou_06_2399.pdf
上場企業の就業規則不備事例について最高裁で弁論が開かれます。
高裁の判断は、就業規則の適用を当事者間の合意で排除することはできないという考え方に立っているように思います。「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。」とする就業規則の最低基準効も意識されているように感じました。
一方、一審は、高裁とは逆の結論をとっていました。雇用契約書の文言通り、有期雇用契約社員として労働契約の締結をしていたと認められ、これについて労働者の個別の同意がある以上、平成23年11月2日以前に準社員就業規則を適用する余地はないと判断していました。
このように一審の判断と高裁の判断が分かれており、最高裁の判断が注目されます。





