判例・裁判例コラム

カスハラに過剰な反撃をする従業員。指導しても改善なし。 解雇事由になるのか?

東京高裁R4.11.22
NHKの視聴者コールセンターを運営する法人が、視聴者対応で多くのトラブルを起こしていた職員の定年後の継続雇用を拒否。
この職員は、例えば、わいせつな発言をしてきた視聴者に対し、上司への転送やミュートによる離脱をせず、「警察に言いますよ」「犯罪です」「もうあなたは犯罪者ですね」などと反撃するなどの問題があった。
職員は、カスハラへの毅然とした対応として正当な行為であり、上司も視聴者の暴言には反撃しているとして、継続雇用拒否は無効だと主張
→ 組織としてカスタマーハラスメントに毅然と対応する必要があるとしても、そのことをもって、個々の従業員が現場で感情的・攻撃的に口論することが許容される限度を超える不適切なものであるとの評価が左右されるものではない。
社内ルールでは、わいせつ発言があった場合、コミュニケ―タ―は直ちにSVに転送するか、保留・ミュートにして離脱すればよく、自ら対応し続ける必要はないとされていた。
ルール上、直ちに転送・保留等により離脱する手段が用意されていたにもかかわらずこれを用いず反撃した以上、不適切な対応であったことは明らかである。
現場の従業員の対応と、転送を受けた上司の対応とを同列に論じることもできない。  
他の勤務態度、度重なる注意指導への非改善姿勢、極めて低い勤務評価等も併せ考慮すると、就業規則の解雇事由に該当し、継続雇用拒否には客観的に合理的な理由及び社会通念上の相当性が認められる。
継続雇用拒否は有効と判断。

企業側から見たポイント
現場の従業員がカスハラだと判断しても、個々の従業員が自己判断で反撃することは、社内のルールとして明確に禁止しておくべきです。
暴言やわいせつ発言等があった場合には、従業員自身が相手と言い争うのではなく、対応を打ち切る、現場から離脱する、上司に報告し、その後は上司が代わって対応するといった具体的な手順をあらかじめルール化しておかなければなりません。
単に【カスハラに毅然と対応する】ということではなく、上記のような役割分担とルールを定めておくべきです。 来月からのカスハラ防止措置義務化に向けて再確認が必要です

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