東京地裁R6.8.8
半期(4〜9月、10月〜3月)ごとに成績評価をする会社が給与規程で「会社は、半期ごとに前半期の会社業績及び社員の勤務成績に対する評価を総合的に判断し、原則として毎年4月及び10月に給料の改定を行う」「決め方は、各社員の業務成績及び態度、職務遂行上の経験、技能、能力等を総合的に判断し、入社時及びその後の変更の都度各社員に通知する。」「改定時に減俸を行う場合は、その幅は前半期の報酬額の2割以内とする。」と定めた。
これに基づき月給150万円の従業員の給与を135万円に減額
→この従業員の働きぶりに関する顧客や他の従業員からのクレームが増加していたほか、繰り返し注意や指導を受け、この従業員にかわって代表者や別の従業員がチームを指揮する事態となった。
360度評価の結果も低調だった。
上半期の人事評価において、期待される職責や役職を果たしているとはいえず、求められる水準に至っていないとの判断がされたことには合理的な理由があるといえる。
減額幅も1割にとどまり、給与規程が定める範囲内。賃金減額は有効と判断
労働判例ジャーナル156号42ページ
企業側のポイント
業績評価による賃金の減額が認められた事例として参考になります。
勤務成績不良の評価結果だけでなく、それを裏付ける客観的資料や指導の記録が残っていました。
また、給与規程におかれていた規定は最低限の内容という印象ですが、それでも裁判所が、会社の賃金減額権限を認めたという点も参考になります。
コンパクトな規定ではありますが、給与改定の時期や減額の上限、考慮要素、減額手続が書き込まれていました。これは単に「会社は、半期ごとに前半期の会社業績及び社員の勤務成績に対する評価を総合的に判断し、昇給または降給を行うことがある。」などとする規定とは全く異なるものです。
ただ、この事案のような規定で果たして常に十分と評価されるかどうかは疑問もあり、裁判所によって評価が分かれ得るところだと感じます。西川執筆の新刊「裁判例に学ぶ就業規則」でもこの裁判例を取り上げ解説していますので、お持ちの方はご参照ください。





