判例・裁判例コラム

諭旨解雇処分を受けて提出した退職届の効力

東京地裁R6.3.13

設備工事業者の常務執行役員が外注先業者の費用負担で国内旅行2回、海外旅行1回に参加し、これを理由に諭旨解雇処分を受けた。常務執行役員は諭旨解雇処分の効力発生までに退職届を提出すれば依願退職を認めると告げられて退職届を提出→外注先業者の費用負担で国内旅行2回、海外旅行1回に参加したことは、癒着が生じるリスクが高く、就業規則の「故意に会社の利益を損なうような行為」にあたる。しかし、現に外注先と癒着して会社に損害を及ぼしたとまでは認められないから、諭旨解雇は客観的合理的理由及び相当性を欠く。そして、執行役員は本件諭旨解雇が有効であり、解雇を回避するために退職届を出すほかないと誤認して退職届を出したものであり、退職の意思表示は錯誤により無効と判断。

役員としての重大な不正を理由に従業員としての退職金を不支給にできる?前のページ

同一労働同一賃金ルール違反を是正する際の経過措置が同一労働同一賃金ルール違反であると主張された事例次のページ

ピックアップ記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  4. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  5. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    支払いすぎた賞与を翌年の賞与から控除できる?

    東京地裁R5.12.28外資系の医薬品販売会社が、従業員に対し、9月…

  2. 判例・裁判例コラム

    セクハラ被害の訴えと休職期間の満了

    東京地裁R6.11.14食品販売会社が精神疾患で休職していた…

  3. 判例・裁判例コラム

    雑に作成された退職時の秘密保持誓約書が無効と判断された例

    東京地裁R6.2.19退職する従業員に、「退職後3年間は、貴社所属時…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    退職勧奨を拒否した従業員にのみ在宅勤務を認めず、在宅勤務用パソコンを返却させたこ…
  2. 判例・裁判例コラム

    精神疾患からの復職にあたり、配転命令を拒否する従業員への対応事例
  3. 判例・裁判例コラム

    PIP実施方法の問題点が指摘され、解雇が無効とされた事例
  4. 判例・裁判例コラム

    外国人技能実習生の指導員について事業場外労働のみなし労働時間制の適用を否定した高…
  5. 判例・裁判例コラム

    就業規則変更による勤務日変更の効力
PAGE TOP