名古屋地裁R6.8.8
課長が通勤中の電車内で口を開いたリュックサックに小型カメラを隠して足元におき、女性のスカート内を盗撮しようとした。これが見つかって逮捕されたが、翌日釈放された。課長は女性に被害弁償し、女性は被害届を取り下げたが、会社は課長を懲戒解雇。
→本件行為は行為時は条例違反にとどまり、その法定刑も重いとはいえない。課長は被害者と示談し、不起訴処分となっており、刑事事件により有罪判決をうけたわけでもない。会社の懲戒規程では、職務外の非違行為は、刑事事件により有罪とされた者については「懲戒解雇~減給」、それ以外の行為により会社の信用・名誉を棄損し、業務に支障をきたした者については基本は「減給~注意」、重大なものは「懲戒解雇~停職」とされている。本件については報道されず、逮捕翌日には釈放されて勤務できる状態になっており、業務等に悪影響を及ぼしたと評価することができる具体的な事実関係があるとはいえない。よって、懲戒解雇は無効と判断。課長が労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し、会社にバックペイ約400万円の支払いを命じた。