判例・裁判例コラム

トラブルが絶えず、会社の信用を傷つける従業員に対して無給で出勤を禁止することができるか?

大阪地裁R5.3.24
パソコン販売会社に雇用され、家電量販店内で接客を担当する従業員が協力会社や家電量販店の従業員とのトラブルが絶えず、会社からは戒告処分を受け、量販店店長からは退店を命じられた。従業員は会社に対して職場復帰を求めたが、会社は認めず、長期にわたり欠勤。会社はこの従業員は問題行動を繰り返し、改善の兆しも見えなかったために職場復帰できなかったのだから、実質的には従業員側の就労拒否に等しく、欠勤期間中の賃金支払義務はないと主張。
→確かに、この従業員の言動によって職場秩序が乱れ、会社の信用が傷つけられていたといえるが、この従業員に対して、会社が更なる懲戒処分を行うことを検討し、その調査等のために出勤を禁止するべき差し迫った必要性があったものとは認められない。欠勤は会社の責めに帰すべき事由によるものであり、会社は民法536条2項に基づき、賃金支払義務を負うと判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  4. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    支払いすぎた賞与を翌年の賞与から控除できる?

    東京地裁R5.12.28外資系の医薬品販売会社が、従業員に対し、9月…

  2. 判例・裁判例コラム

    有期雇用の派遣社員の雇止めが有効とされた事案

    東京地裁R4.11.18派遣会社が有期雇用の派遣社員の2回目の契約更…

  3. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用における能力不足解雇

    東京地裁H28.6.1海外証券会社の日本法人が営業職を解雇→本件労働…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    トラブルが絶えず、会社の信用を傷つける従業員に対して無給で出勤を禁止することがで…
  2. 判例・裁判例コラム

    どのくらいの時間数の副業なら本業に支障を生じさせると認められる?
  3. 判例・裁判例コラム

    部下3名(正社員1名、派遣社員2名)の部長の管理監督者性
  4. 判例・裁判例コラム

    職場内で秘密録音したデータを民事訴訟の証拠として利用できる?
  5. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用の従業員について、担当業務が廃止された場合の解雇の有効性
PAGE TOP