判例・裁判例コラム

日本語能力の不足を理由に外国人大卒者を解雇した事例

東京地裁R5.12.1

日本企業がペルー出身の大卒者を採用したが、日本語能力が低いとして試用期間中に解雇。不当解雇として訴えられた。会社は履歴書や職務経歴書が洗練された日本語で記載されており、中級以上の日本語能力があると認識して採用したと主張

→従業員の履歴書等は翻訳アプリや日本人である従業員の妻の点検を経て作成されたと考えられる。そのことが直ちに問題があるとはいえない。会社は従業員に履歴書を独力で作成したかを確認しておらず、履歴書が従業員の日本語能力を示すものとはいえない。採用面接時の話し方はゆっくりで、言い直す場面もあり、流暢とはいえなかったにもかかわらず、採用している。そうすると、採用時に一定の日本語能力が前提とされていたものの、その程度は採用面接時に従業員が面接担当者とやりとりした程度の日本語能力をいうと認めるのが相当。解雇無効と判断。

労働経済判例速報2556号

抑うつ状態で1年近く出勤しない職員の解雇が、仮に就業できない状態であったとしても無効であるとされた事例前のページ

メンタル休職から復職して21か月後の秋田への転勤命令次のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  3. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

    判例・裁判例コラム

    業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

    事件の概要従業員が、会議への参加や業務の引き継ぎ等の業務命令…

  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.5.15)
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大阪地裁R6.3.27)
  4. 判例・裁判例コラム

    年功序列的賃金制度から成果主義的給与体系への就業規則変更を行った事案

    東京地裁H30.2.22家庭教師派遣事業などを行う会社が、年功序列的…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    定年後再雇用の2年目に1年目よりも大幅に切り下げた労働条件での雇用を提示した事案…
  2. 判例・裁判例コラム

    従業員に周知された資料に基づき、降格にともなう賃金減額を行った事案
  3. 判例・裁判例コラム

    同一労働同一賃金ルール違反を是正する際の経過措置が同一労働同一賃金ルール違反であ…
  4. 判例・裁判例コラム

    残業代の支払期日
  5. 判例・裁判例コラム

    上司の腹部をつついてちょっかいを出すなどしていた女性部下が、その上司によるセクハ…
PAGE TOP