東京地裁H28.7.20
エレクトロニクス事業などを事業とする東証一部上場企業(当時)が賃金規程に「担当職務の見直しに合わせ、給与の見直しを行う場合がある。見直し幅は、都度決定する。」と定めた。人事開発部長について、採用した人材の定着率が極めて悪く勤務成績が不良であるとして、管理本部課長に降格させた。これに伴い、賃金を月額約67万円から月額約54万円に減額。
→使用者が、個々の労働者の同意を得ることなく賃金減額を実施した場合において、その減額が就業規則上の賃金減額規程に基づくものと主張する場合、賃金請求権が、労働者にとって最も重要な労働契約上の権利であることを踏まえれば、その賃金減額規程が、減額事由、減額方法、減額幅等の点において、基準としての一定の明確性を有するものでなければ、そもそも個別の賃金減額の根拠たり得ない。会社は賃金規程で「担当職務の見直しに合わせ、給与の見直しを行う場合がある。見直し幅は、都度決定する。」と定めているが、減額方法、減額幅等の基準が示されているということはできない。したがって、賃金減額は無効と判断