宮崎地裁R6.5.15
食品販売会社の係長が37歳で自宅で突然死。
→死亡前6か月の時間外労働は平均月56時間であり、相当程度の疲労を蓄積させるものであった。また、死亡の1週間前に県外出張が3回あり、長時間の往復移動・深夜帰宅があった。さらに、大口取引先に納品した商品が真空パックの不具合により腐敗していたことによる消費者クレームが発生し、自身が顧客に謝罪したり直接強い叱責を受けることはなかったにせよ、大口取引先との取引停止につながり得る重大性も踏まえれば、担当者としての負荷は強度であったというべき。恒常的な時間外労働や県外出張による不規則勤務、クレーム対応が集中したことにより発症に至ったもので、死亡は業務起因と判断。
時間外労働(正確には週40時間超労働)が平均月56時間というのは、労働時間だけ見れば過労死を警戒しなければならない水準ではありません。 しかし、1週間に県外出張3回があったうえ、消費者クレーム発生に伴う負荷が強度であったとして、死亡は業務起因と判断されました。
労働時間以外の負荷にも注意しなければならないことを示す事例です。 仕事である以上当然負荷がかかるものであり、またその程度は常に変動するものですが、本件のように短期間でも強度の負荷があれば業務起因性が肯定されることがあることに留意して、労務管理しなければなりません。





