判例・裁判例コラム

社労士にちゃんと相談せずに職員を管理監督者扱いした事案において、社長個人が残業代分の賠償責任を負うとされた事例

名古屋高裁R5.2.22
介護事業者が主任ケアマネを管理監督者扱い。主任は会社に残業代請求したが会社が清算されたため、元社長に損害賠償請求。
→この事案において主任は管理監督者にはあたらないと判断。さらに、社長は主任の業務が管理監督者にふさわしいかを社労士に相談せず、残業代を免れるために管理監督者制度を利用したにすぎないから、重大な過失があり、会社法429条1項に基づき、社長個人も残業代分の賠償責任を負うと判断。

裁判所の認定によると、社長が主任から給料をあげてくれと要望されて顧問社労士に相談、管理監督者にすれば残業代を支払わなくてよいと言われたことから、管理監督者とはどのような立場のものか、この主任の業務が管理監督者にふさわしいかについては社労士に相談しないまま、自分の判断で主任を管理監督者扱いしたという事案のようです。裁判所は、この主任を管理監督者扱いしたことについて、社長には重大な過失があったとして、会社法429条1項に基づき、社長に残業代分の損害賠償を命じました。会社法429条1項は、「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」と定めています。

掲載誌:労働判例1294号39ページ

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

ピックアップ記事

  1. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  2. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    休職期間満了による退職を6か月経過してから通知した事例

    東京地裁R6.5.28休職者が復職を希望したため、会社は復職…

  2. 判例・裁判例コラム

    部下の上司に対するハラスメントについての懲戒処分

    東京地裁R6.3.21上司に、自身のパソコンの画面を見られて…

  3. 判例・裁判例コラム

    有給取得取得予定日前日の時季変更権行使

    札幌高裁R6.9.13ホテルの宿泊部部長がハワイで挙行される娘の結婚…

  4. 判例・裁判例コラム

    製造業で年収800万円の部長の管理監督者性

    大阪地裁R3.3.12取締役会に出席して経営方針の決定に参画…

  5. 判例・裁判例コラム

    能力主義的賃金制度導入の失敗例

    長野地裁H22.3.26病院が職員の就業規則を改定して賃金制度を変更…

アーカイブ

  1. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大阪地裁R6.3.27)

    判例・裁判例コラム

    232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  2. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用でポストが失われた場合に使用者に求められる解雇回避措置の内容
  3. 判例・裁判例コラム

    試し勤務の提示を拒否した従業員の復職可否判断
  4. 判例・裁判例コラム

    送別会帰りのタクシーでのセクハラと会社の使用者責任
  5. 判例・裁判例コラム

    始業前の制服への着替え時間が労働時間にあたることが否定された事例
PAGE TOP