名古屋地裁H16.4.27
女性職員がセクハラ被害(同僚・上司による飲酒時の不適切な言動など)を会社に申告。会社はセクハラ防止方針の策定や関係者への注意喚起を行ったが、女性は「加害者である上司と一緒に働きたくない」として欠勤を継続。これを受け、会社は女性に対し、大阪事務所への配転命令を発令。女性が命令を拒否し再度無断欠勤したため、会社は懲戒解雇した
→本件で認定できるのは、会社で行われた送別会の際に、酩酊した女性職員を助け起こした際に、部長が女性職員の両肩に両手を一瞬乗せるという場面があったという点のみ。これをもってセクハラと評価できるか極めて疑問であるが、仮にセクハラと評価できるとしても被害は微小なもの。
会社がとった、関係者に対する注意喚起や、セクハラ防止指針の策定、アンケートの実施等の措置は常識的にみて、このような対象行為の性質、程度及び結果の大きさ等に照らし、必要十分なものと評価するのが相当。これらを通じ、事務所における就業環境の性的安全性は、適切に確保された状態になっていたと認めることができる。女性職員の欠勤は、会社の承諾を得ないいわゆる無断欠勤に該当する。懲戒解雇有効と判断
言いがかりとも思えるセクハラ被害の主張にも、会社は関係者に対する注意喚起や、セクハラ防止指針の策定、アンケートの実施等、お手本通りの対応ができており、平成中期にここまでできたのは素晴らしいですね。
現在は、いわゆるセクハラ指針で、セクハラの事実が確認できなかった場合においても、改めて職場におけるセクハラに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずることが義務付けられています。何事もまずはお手本通りやり、そのうえでさらに工夫を加えるということが大切だと思います。
以下の記事でも職場のセクハラ対策について解説していますので併せてご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/1603.html