東京地裁R5.12.7
電機製品販売会社の従業員が就業時間中にオフィス自席で読書していたことを上司が見つけ、強い口調で「〇〇さん」と呼びかけたところ、この従業員がとっさに本を閉じた。 上司は、その翌日、事前に事実確認を行うことなく、この従業員に読書の件について「就業規則違反について第1回目の警告の確認です」とする件名のメールを送信。従業員は、物流関係の書籍であり業務のために読んでいたとする内容の返信をしたが、上司は「虚偽の反論をするとさらに重い罰則を与えられることがある」などとメールした。
→従業員が勤務時間中に読んでいた本が業務に関連するものであったにもかかわらず、無関係の本であると誤認し、このような事実誤認を前提に警告を行ったばかりか、確たる根拠を提示することなく、従業員の反論を虚偽であると断定したうえでさらに警告を追加している。従業員に対する事実確認等の容易な調査すら実施しておらず、著しく相当性を欠き、業務の適正な範囲を超えて従業員に精神的苦痛を与える行為にあたる。パワーハラスメントに該当すると判断
パワハラについての解説は以下をご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/2619.html
パワハラとは、「職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)までの要素を全て満たすもの」と定義されています。 本件のような誤認に基づく叱責は、(2)の要件との関係では、明らかに業務上必要がないので、(2)の要件を満たし、他の要件も満たせばパワハラになってしまうので注意が必要です。
パワハラについては以下の事例紹介動画もあわせてご参照ください。
https://youtu.be/Z5FMp-mwiRY





