大阪地裁R7.9.26
会社から社用車で帰宅の途中に友人宅に寄った従業員が350ミリの発泡酒2本と350ミリのハイボール3本を飲んだ後に飲酒運転。職務質問を受けて現行犯逮捕され、罰金50万円の略式命令を受けた。会社は懲戒解雇したが、従業員は解雇は無効だと主張して提訴。①業務時間外に行われた私生活上の行為であり、②運転時間は短時間で交通事故も起こしていないことなどと主張した。
→本件酒気帯び運転は、血中アルコール濃度は高く、異常な運転態様などに照らせば、事故を起こす可能性の高い非常に危険なものであった。また、業務終了後に行われたものであるものの、社用車を運転するものであり、事故を起こした場合、会社に損害賠償責任が発生し得るものであったといえるから、単なる私生活上の行為にとどまるとはいえない。加えて、警察官から呼気検査等を求められたにもかかわらず、これを拒否し、長時間、その場にとどまることとなり、さらに、警察官に対し、怒鳴りつけたり、暴言を吐いたりしており、酒気帯び運転後の事情も悪質。昨今の飲酒運転に対する社会的な非難の高さなどに照らせば、過去に懲戒歴がないことなどを考慮しても、懲戒解雇は有効と判断。
実際にこれが起きた場面では、社用車とはいえ、業務外、短距離、事故なしということだと懲戒解雇はなかなか勇気がいりそうです。走行距離は1.4キロでした。
一方で、自動車販売会社で従業員が社用車を無免許運転した事案では、業務中、短距離、事故なしでしたが、懲戒解雇無効とされた例があります(東京地裁R4.9.12)。
大阪地裁R7.9.26
業務外の社用車飲酒運転(事故なし・短距離)
ただし、警察官に暴言を吐いた、後日罰金刑を受けたなどの事情あり
→懲戒解雇有効
東京地裁R4.9.12
業務中の社用車無免許運転(事故なし・短距離)
ただし、刑事事件にはならず。社内調査で発覚
→懲戒解雇無効
現在、無免許と酒気帯びでは法定刑の上限(刑事罰)は同じです。そうすると、非違行為について業務中か業務外かで大きく扱いを分け、業務外の非違行為の懲戒は厳しく見るという考え方がとられているわけではないようにも思えてくるところです。
ポストの事案は、実際に危険を伴う異常な運転態様・警察官に暴言を吐くなど、近隣に与えた危険・影響は大きかったと思います。裁判所もそのような点を踏まえて懲戒解雇を有効としており、罪名や刑事処分の結果、報道の有無、業務外、事故なしといったいわばスペックの部分だけで判断するのではなく、非違行為の内容とその影響を具体的にみるということが重要だと改めて感じます。





