事件の概要
病院の事業譲渡に伴い、全職員が譲渡日に退職し、その後、新事業者に雇用されることとなった。譲渡日の退職にあたり、職員の3分の2にあたる232名が一斉に退職前の有給消化を申請した。
裁判所の判断
一般的に、退職前の有給申請について使用者が時季変更することは、他の時季に有給取得の可能性がないから、認められない。しかし、本件で232名が一斉に有給申請すると、病院業務に重大な支障を生じることは明らかであり、そのような事情がある場合には、退職前の有給消化であっても、使用者は労働者ができるだけ有給を取得できるよう配慮しながら時季変更権を行使することは許されると判断。