判例・裁判例コラム

金額あと出しの定額残業代も有効か?大阪地裁の判断

大阪地裁R7.11.21
会社が、給与規程において、総合職の職能給の40~60%を時間外みなし分とする旨定めていた。しかし、労働者は、雇用契約締結前に賃金に固定残業代が含まれる旨の説明を受けたことはなかったと主張。固定残業代の合意はないと主張して割増賃金を請求した。
→周知された給与規程により、職能給の一部(40~60%)を固定残業代として支払うことが労働条件となっていたというべきである。そして、給与規程が職能給のうち固定残業代の金額について幅をもって定めているのは、具体的な金額の決定を会社に委ねる趣旨であると解するのが相当。職能給のうち固定残業代として支払われる額が入社時に明確に説明され、合意されていたことを認めるに足りる証拠はないが、入社約5か月経過後ではあるものの、職能給の金額及びそのうち時間外労働充当分の金額が明記された労働条件通知書が交付されている。以上によれば、職能給のうち、労働条件通知書記載の額は、固定残業代として支払われたものと認められると判断

入社約5か月経過後にはじめて、定額残業代にあたる部分の金額を明示した事案です。つまり入社を決める段階では、労働者から見れば所定内賃金がいくらかわからなかったということになり、このような制度設計は、決して褒められたものではありません。賃金に定額残業代が含まれる場合、労働者を募集する段階で、その金額を明示するべきです。
ただ、そのような適切な対応ができていなかった事案について、使用者側の立場で残業代請求訴訟に対応しなければならないこともあります。そのような場面では、ポストのような裁判例の存在が、使用者側の主張を組み立てるうえでの参考になります。
なお、法令上も、企業が求人情報を出す際に、定額残業代があるときは、その金額や対応時間数、定額残業代を除外した賃金の額等を明示することが求められています(平成十一年労働省告示第百四十一号)。ポストのような事案では、企業の主張が認められたとしても、企業として法令を踏まえた改善をしておくべきです。

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