判例・裁判例コラム

始業前の制服への着替え時間が労働時間にあたることが否定された事例

東京地裁R5.4.14
ビルにおいて設備機器の操作・保守を行う設備員が、始業前の制服への着替え時間が労働時間にあたるとして残業代請求
→設備員は、通勤時にはスーツを着用し、作業場所に到着した後、朝礼までにロッカー室で制服に着替えていた。しかし、設備員自身、会社の現場担当者から、出勤時には、余りにもだらしない服装はだめで、基本的にスーツ着用が望ましいと言われた旨を述べるにとどまる。そうすると、設備員の通勤時の服装に関する会社の指示はなく、設備員が単に慣習としてスーツで通勤したうえで始業前に着替えていたにすぎないとする会社の主張を排斥できない。会社が始業前に作業場所で制服に着替えることを義務付けていたとはいえず、始業前の着替えは労働時間には当たらないと判断

どのくらいの時間数の副業なら本業に支障を生じさせると認められる?前のページ

中古車買取店の店長が管理監督者にあたるかが問題になった事案次のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  3. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    会社の要請に反する行動を理由とする降格

    仙台高裁R5.1.26基本給=等級給+評価給と定め、等級給は等級に応…

  2. 判例・裁判例コラム

    住民票記載事項証明書の不提出を理由とする解雇の有効性

    東京地裁R6.9.25会社が自社が雇用した清掃作業者に再三にわたり住…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    会社がずさんな秘密保持誓約書の提出を求めたことが会社の請求を認めない理由の1つと…
  2. 判例・裁判例コラム

    労災認定されて休業中の従業員の解雇
  3. 判例・裁判例コラム

    人事考課に基づく降格・賃金減額の有効性
  4. 判例・裁判例コラム

    試用期間中に2回の事故を起こし、ミスも改善されない従業員を実働10日で解雇した事…
  5. 判例・裁判例コラム

    不備のある定額残業代を就業規則変更によって有効にできる?
PAGE TOP