判例・裁判例コラム

適応障害による休職者の復職可否判断

大阪地裁R6.5.21
会社が適応障害による休職者について復職を認めず、休職期間満了により退職扱いとした。
→主治医は、異動後の職場環境調整のうえであれば復職可能であるとの診断書を提出している。また、リワークプログラムの評価シートの平均点も復職申請に進むことができる基準を上回っている。そして、リワークを平日はほぼ毎日出席しており、カルテ等で精神状態が就労に耐えられないような状況にあることをうかがわせる具体的な記載は見当たらない。
 これに対し、会社の顧問医は、本人と面談のうえ、「内省に乏しく、休職になった原因に関しても身体の状態に対してのみで、精神的ストレスに関しては全く振り返りはない状態である。」などとして、復職不可とする意見書を会社に提出している。しかし、従業員から会社に対して訴訟が提起された後、顧問医は会社から意見書の提出を求められても応じておらず、そもそも顧問医が従業員の精神状態について真に就労不能という認識であったかどうか疑問がある。会社の退職扱いは無効と判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  5. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    就業規則の変更によっては変更されない労働条件の合意

    東京地裁H12.2.8会社が、1年間の有期雇用、賃金は年俸620万円…

  2. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用における能力不足解雇

    東京地裁H28.6.1海外証券会社の日本法人が営業職を解雇→本件労働…

  3. 判例・裁判例コラム

    大声で非難する発言を理由とするけん責処分

    東京地裁R6.6.27学校法人において、養護教諭の業務負担が過剰であ…

  4. 判例・裁判例コラム

    私傷病休職の期間を会社の判断で延長できる?

    大阪高裁H25.1.18 会社は、休職期間の延長は労働者に有利だから…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    労災認定されたが損害賠償責任は否定された事例
  2. 判例・裁判例コラム

    就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?
  3. 判例・裁判例コラム

    東京地裁R3.2.15
  4. 判例・裁判例コラム

    「復職可能であり、3か月間は短時間勤務及び軽度業務に限る配慮が必要」と主治医が診…
  5. 判例・裁判例コラム

    製造業で年収800万円の部長の管理監督者性
PAGE TOP