東京地裁R5.5.24
機密情報を漏洩した経理部長代理を懲戒解雇。
会社は、社内に「当社の従業員(管理職)1名が、当社の機密情報を含む社内データを私的利用で自宅に持ち帰り、また、特定の者の求めに応じて社内データを複数回漏洩する等の複数の重大な非違行為を行っていたことが判明したため、本日付けで懲戒解雇処分としました」と公示した。経理部長代理はこれが名誉毀損であると主張して損害賠償を求めた。
→就業規則に懲戒処分を社内に公示できる旨の規定がおかれている。公示では懲戒解雇された者の氏名は記載されておらず、仮に他の従業員がこの公示により懲戒解雇された者を認識できるとしても、本件懲戒解雇が有効であると判断される以上、会社が就業規則に従い、その内容を社内に公表すること自体は相当な行為。名誉毀損には当たらないと判断。
懲戒処分の社内公表には、非違行為で企業秩序が乱れた場面で、企業が問題行動に罰を与えたことを示すことで、企業秩序を回復するという意義があります。 ただし、ポストの裁判例のように、公表は名誉毀損だなどとして損害賠償請求される例も多いです。
違法とされないためには、
・氏名の公表は控える
・詳細にわたる公表は控える
・公表について就業規則に規程をおいて、会社の制度であることを明確にする
などがポイントになります。
ポストの裁判例の事案では、
「当社の従業員(管理職)1名が、当社の機密情報を含む社内データを私的利用で自宅に持ち帰り、また、特定の者の求めに応じて社内データを複数回漏洩する等の複数の重大な非違行為を行っていたことが判明したため、本日付けで懲戒解雇処分としました」
と公示していましたが、適法とされました。





