判例・裁判例コラム

長時間労働者に早く帰宅するように指導しても帰らない場合に会社がとるべき対応

大阪地裁H20.5.26
長時間労働のシステムエンジニアがうつ状態と診断されて会社の安全配慮義務違反を主張。会社は、①補充要員を確保するなどして本人の業務を軽減し、上司も帰宅できるときには帰宅するようにと指導・助言していた、②早く帰るよう指導しても交際中の女性がまだ職場に残っており退社するのを待っているからもう少し残りたい旨答えたことも複数回あったと反論。

→時間外労働時間が恒常的に月100時間を超えており、この状況で会社が安全配慮義務を履行するためには単に残業しないよう指導・助言するだけではもはや十分でなく、端的にこれ以上の残業を禁止する旨を明示した強い指導・助言を行うべきであった。それでも応じない場合、最終的には、業務命令として一定の時間が経過した以降は帰宅すべき旨を命令するなどの方法を選択することも念頭に置いて長時間労働を防止する必要があった。安全配慮義務違反ありと判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    有期雇用の派遣社員の雇止めが有効とされた事案

    東京地裁R4.11.18派遣会社が有期雇用の派遣社員の2回目の契約更…

  2. 判例・裁判例コラム

    精神疾患からの復職にあたり、配転命令を拒否する従業員への対応事例

    東京地裁R5.12.28東京本社勤務の従業員が仙台支店への配転を命じ…

  3. 判例・裁判例コラム

    労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例

    宮崎地裁R6.5.15平均月56時間の時間外労働をしていた係長が突然…

  4. 判例・裁判例コラム

    独自の休職基準を定める規定の効力

    東京地裁R6.9.25就業規則において、就労の可否は専ら使用者が指定…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    アルバイトをシフトに入れなかった使用者の責任
  2. 判例・裁判例コラム

    有期雇用労働者と無期雇用労働者の基本給格差が違法とされた事例
  3. 判例・裁判例コラム

    形成外科医のオンコール当番待機時間は労働時間か?
  4. 判例・裁判例コラム

    些細なミスを広範に注意した後の能力不足解雇
  5. 判例・裁判例コラム

    労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例
PAGE TOP