判例・裁判例コラム

業務に消極的な態度をとり、執務態度を改めない従業員の解雇

東京地裁H28.3.28

大企業が大学院卒勤続12年の正社員を能力不足を理由に解雇。他の従業員より業務量が少ないため上司が業務を増やそうとしても自分は能力がないと言って拒否、業績改善プログラムの実施も拒否、上司との面談を避ける、会議への不参加、業務中の就寝、ジーパン・サンダル等で執務して注意を受けても改めない等の問題があった。
→新たな業務に対して消極的であったとしても、そのような態度を続けると業務命令違反であるなどとして明確な指示がされていたとまでは認められない。業務量が少ないとしてもその業務内容自体には問題があるとは認められない。そのほかの問題行動は解雇事由となるほど重大なものとはいえない。職種や勤務地の限定があったとは認められないことなどからすると、その適性に合った職種への転換や業務内容に見合った職位への降格、一定期間内に業績改善が見られなかった場合の解雇の可能性をより具体的に伝えた上での更なる業績改善の機会の付与などの手段を講じることなく行われた本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、権利濫用として無効というべきであると判断

1000円の着服をした運転手の退職手当1200万円超を全額不支給にした事案前のページ

他の勤務先での就業状況を知らなかった場合でも通算による割増賃金の支払義務があるか?次のページ

ピックアップ記事

  1. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  4. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  5. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    給与ダウンが不満で出勤拒否 →懲戒解雇は有効とされた判決

    大阪地裁R1.12.10派遣会社が、エンジニアを派遣社員として月給5…

  2. 判例・裁判例コラム

    合同労組に加入する従業員に時間外労働を命じないことは不法行為?

    福岡地裁小倉支部R7.3.27運送会社に勤務する運転手らが合同労組に…

  3. 判例・裁判例コラム

    覚醒剤使用で懲戒解雇された従業員の退職金不支給についての判断事例

    東京地裁R5.12.19鉄道会社が覚醒剤使用で有罪判決を受けた車両検…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    引越し会社で特定の作業をこなした場合に支給される業績給は労基法施行規則19条6号…
  2. 判例・裁判例コラム

    従業員が、日時を特定せずに「副主任からいじめを受けている」との抽象的な報告。この…
  3. 判例・裁判例コラム

    入社後約4年間にわたり「残業手当」の名目で支給していた賃金が時間外労働の対価とは…
  4. 判例・裁判例コラム

    会社からタイムカード打刻を義務付けられている営業部長の管理監督者性
  5. 判例・裁判例コラム

    アルバイトをシフトに入れなかった使用者の責任
PAGE TOP