判例・裁判例コラム

35年以上続いた定期昇給を中止できる?

東京地裁R5.10.30
学校法人が35年以上行なってきた4月の定期昇給を財政状況により中止。これに対し、職員らは定期昇給は労使慣行であると主張。
→法的効力のある労使慣行が成立するためには、長期間の継続だけでなく、慣行が労使双方の規範意識によって支えられていることが必要。過去に学校が組合に対し定期昇給の中止について言及したこともあり、組合も定期昇給が当然でないと認識していたからこそ定期昇給を要求していたといえる。定期昇給を行うことが労使双方の規範意識によって支えられていたとはいえず、労使慣行になっていたとはいえない。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    覚醒剤使用で懲戒解雇された従業員の退職金不支給についての判断事例

    東京地裁R5.12.19鉄道会社が覚醒剤使用で有罪判決を受けた車両検…

  2. 判例・裁判例コラム

    在宅勤務の権利を主張し、出社指示に従わない従業員の解雇

    東京地裁R7.1.15ソフトウェアに関する技術指導などを事業とする会…

  3. 判例・裁判例コラム

    精神疾患からの復職にあたり、配転命令を拒否する従業員への対応事例

    東京地裁R5.12.28東京本社勤務の従業員が仙台支店への配転を命じ…

  4. 判例・裁判例コラム

    約半月にわたる無断欠勤について労働者が賠償を命じられた事例

    東京地裁R7.2.27ウェブサイトの制作等を事業とする会社の労働者が…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    小規模企業の整理解雇では役員報酬の削減が必要?
  2. 判例・裁判例コラム

    長時間労働者に早く帰宅するように指導しても帰らない場合に会社がとるべき対応
  3. 判例・裁判例コラム

    残業代の支払期日
  4. 判例・裁判例コラム

    無期転換後の賃金格差
  5. 判例・裁判例コラム

    1年単位の変形労働時間制を定める就業規則の不備
PAGE TOP