労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6.5.15)

判例・裁判例コラム

労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6.5.15)

事件の概要

平均月56時間の時間外労働をしていた係長が突然死して労災認定された

裁判所の判断

会社が係長に作成・提出させていた勤務表には、一律に始業午前9時、終業午後6時と記載されており、労働時間の実態を反映していない。会社はこのような勤務表の提出による労働時間の自己申告に疑問を抱くことなく、長期間にわたって係長の労働時間の実態を把握するための方策を採らなかった。また、会社は、係長について、連続出勤や出張業務に加え、突発的に生じたクレーム対応によって心身への負荷が増加していたことを認識し得た。それにもかかわらず、業務量の軽減など特段の措置を講じなかったのだから、安全配慮義務違反ありと判断。

就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)前のページ

クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.5.15)次のページクレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.5.15)

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  3. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  4. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  5. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    過半数代表選出にあたり無投票者は有効投票にみなすと定めた場合の効力

    松山地裁R5.12.20大学が過半数代表者選出規程に、信任投票で投票…

  2. 判例・裁判例コラム

    送別会帰りのタクシーでのセクハラについて会社は使用者責任を負う?

    東京地裁R5.5.29上司の送別会の帰りのタクシーで上司が部下の女性…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    労災認定されたが損害賠償責任は否定された事例
  2. 判例・裁判例コラム

    試用期間満了20日前の解雇が解雇の選択の時期を誤ったものであり無効と判断された事…
  3. 判例・裁判例コラム

    業務に消極的な態度をとり、執務態度を改めない従業員の解雇
  4. 判例・裁判例コラム

    外資系企業における整理解雇について判断した事例
  5. 判例・裁判例コラム

    自宅待機状態を続けさせたことが違法な退職勧奨であるとされた事例
PAGE TOP