判例・裁判例コラム

始業時刻前の出勤も賃金支払義務あり?さいたま地裁の判断

さいたま地裁R4.7.29
看護師が早出残業の賃金請求。前時間帯勤務者からの申し送りの前にすべきとされた準備業務を始業後に始めたのでは間に合わなかったと主張
→上長は看護師が始業前に準備業務をしていることを知っていたと考えられるがやめるよう指導した形跡がない。黙示の指揮命令ありと判断

早出残業の残業代は認められないことが多いですが、ポストの裁判例のように「使用者が早出残業を認識しつつ放置している場合」には支払義務が認められる例があります。そのほか例外的に早出残業について賃金支払義務が認められるパターンとして「1時間以上早出している場合」や「タイムカードに具体的な用務先が記載されている場合」などの例もあります。
以下の動画でこれらの点を解説しています。
https://youtu.be/dMc27ek7Neo?si=y05xsU7ZzJzN3HRI
https://youtu.be/h5qaY7goVEU?si=7p-NR3FI5Nti4EXw

退職直前にメール約180通を削除した退職者の損害賠償責任前のページ

ピックアップ記事

  1. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    形成外科医のオンコール当番待機時間は労働時間か?

    千葉地裁R5.2.22病院が就業時間外で形成外科医のオンコール当番を…

  2. 判例・裁判例コラム

    部下3名(正社員1名、派遣社員2名)の部長の管理監督者性

    東京地裁R6.3.28太陽光発電システムの設計、販売等を事業とする会…

  3. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6.5.15)
  4. 判例・裁判例コラム

    半期ごとの業績評価により賃金を最大2割減額する規定の効力

    東京地裁R6.8.8半期(4〜9月、10月〜3月)ごとに成績…

  5. 判例・裁判例コラム

    雑に作成された退職時の秘密保持誓約書が無効と判断された例

    東京地裁R6.2.19退職する従業員に、「退職後3年間は、貴社所属時…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    退職勧奨を拒否した従業員にのみ在宅勤務を認めず、在宅勤務用パソコンを返却させたこ…
  2. 判例・裁判例コラム

    雇用契約書に明記した固定残業代の主張が認められなかった事例
  3. 判例・裁判例コラム

    給与振込担当者が自分の給与を勝手に増額させていたとして懲戒解雇された事案
  4. 判例・裁判例コラム

    就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?
  5. 判例・裁判例コラム

    外国人技能実習生の指導員について事業場外労働のみなし労働時間制の適用を否定した高…
PAGE TOP