判例・裁判例コラム

『意味不明』『成果が見えない』などのコメントはアウト? 報告書への赤入れがパワハラに?―鳥取地裁の判断

鳥取地裁R7.9.25
 大学医学部の准教授が大学職員に、職員の業務の状況が把握できないとして、週間報告書の提出を求めた。職員はこれを受けて報告書を提出。准教授は、これについて、業務報告とは程遠い内容であり、「ちゃんとした業務報告」を送ってほしいとして、37項目にわたるコメントを付した上、再提出を求めた。それらのコメントには、報告内容の誤り、准教授の認識と相違する点、誤記、准教授が不十分と考える点を指摘するもののほか、「意味不明」「あなたは、本当に医療機器等の商品を開発する気があるのですか?」、「あなたは、このような中途半端な調査で「調べた」というのですか?」「成果が全然見えません」「あなたの発表がどれだけ現場からかけ離れているか、を示しています」等の表現が含まれていた。
→「意味不明」「あなたは、本当に医療機器等の商品を開発する気があるのですか?」「あなたは、このような中途半端な調査で「調べた」というのですか?」、「成果が全然見えません」「あなたの発表がどれだけ現場からかけ離れているか、を示しています」などのコメントを除いて読んでも、准教授が職員に対してどのような報告書の提出を求めているかは十分に理解できる。このことからすると、これらのコメントは報告書の改善すべき点や改善の方向性を示すためには不必要である。むしろ、その表現ぶりを見ると、指導のために必要とは思われない辛辣な言葉で職員を非難ないし否定するばかりで、報告書の修正や改善の助けには全くならない。コメントが准教授から職員に対するフィードバックの中でなされたものであるという点を考慮してもなお、指導の範囲を逸脱して違法といわざるを得ない。不法行為にあたると判断

 パワハラについては以下の記事もご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/2626.html

 本件では報告書につけた『意味不明』『成果が見えない』などのコメントがパワハラとされました。日報や報告書にコメントを付ける場面の注意点として参考になる裁判例です。
日報や報告書にコメントを付けるときは、改善すべき点と改善方法を指摘すべきであり、改善の助けにならない、単に非難したり否定したりするコメントを入れるべきではありません。

メンタルヘルス不調からの復職可否判断。服薬中でも運転業務に復帰可能?大阪地裁の判断!前のページ

社会保険労務士会、その他人事労務関係団体向けのおすすめ研修・講演テーマです次のページ

ピックアップ記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  2. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  3. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  4. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  5. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    労災請求における事業主証明の拒否が問題になった事案

    大阪地裁R5.7.27従業員が労災保険の休業補償給付支給請求書を送付…

  2. 判例・裁判例コラム

    教師が生徒からチョコレートをもらうことは懲戒事由?

    東京地裁H23.4.15私立の中学・高校の社会科教師が①生徒からバレ…

  3. 判例・裁判例コラム

    自宅待機状態を続けさせたことが違法な退職勧奨であるとされた事例

    東京地裁R6.4.24嫌いな人物はとことん追い詰める、高圧的な態度で…

  4. 判例・裁判例コラム

    通勤中の電車内で盗撮行為を行った課長を懲戒解雇した事案(控訴審)

    名古屋高裁R7.3.25課長が通勤中の電車内で口を開いたリュ…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    年俸制における賃金減額にはどのような規定が必要か?東京地裁の判断
  2. 判例・裁判例コラム

    65歳以降の従業員の雇止めは65歳までの雇止めとどう違う?
  3. 判例・裁判例コラム

    上司とトラブルが絶えない従業員に対する退職勧奨が違法とされた例
  4. 判例・裁判例コラム

    協調性欠如などの問題がある従業員に本箱の書籍(段ボール121箱分)の移動作業を命…
  5. 判例・裁判例コラム

    業務命令に応じない従業員への対応事例
PAGE TOP