判例・裁判例コラム

東京地裁R7.9.10

ラーメン店を営業する会社が、店舗従業員について特例措置対象事業場として週44時間の労働時間を設定。しかし、従業員は店舗業務だけでなく本部業務も兼務するようになった後は、法定労働時間の上限は週40時間になるべきであると主張。
→この従業員が飲食店従業員として勤務を開始し、特例措置対象事業場で勤務していたことは当事者間に争いがない。
しかし、令和3年2月以降は店舗勤務のほかに本部業務も行うようになっていた。
複数の事業場で労働する労働者について特例措置対象事業場の特例を適用するためには、その労働者の特例措置対象事業場以外の事業場に関する業務が臨時的なものにとどまる必要があるというべきである。
本件では、従業員は、例えば令和4年3月1日は労働時間11時間30分のうち店舗業務6時間45分、同月2日は労働時間10時間30分のうち店舗業務4時間30分、同月7日は労働時間12時間30分のうち店舗業務6時間30分であり、それ以降も月末まで状況はあまり異ならない。特例措置対象事業場の業務ではない業務に相当程度従事しているといえ、これが臨時的なものにとどまるとはいえないから、法定労働時間は週40時間になると判断。未払い割増賃金の支払命令。

これは要注意な判断だと思いました。
人手不足の時代に店舗従業員が本部業務も兼務するということはありそうな話ですが、それが臨時的なものでなくなってきた場合、ポストのような事案では、44時間制から40時間制に変更しなければ違法だということになります。
放置すると週4時間、月16時間超の未払残業が発生し、理屈上は罰則の対象にもなることになります。また、残業単価も1割切り上がることになり、影響は大きいように思います。

院内携帯を持たされていた医師! 食事・仮眠も「全部労働時間」!東京地裁の判断!前のページ

欠勤理由にウソでも解雇は無効? 試用期間の女性を解雇 →1000万円超の支払命令!東京地裁次のページ

ピックアップ記事

  1. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    営業活動に他の業者を帯同させた営業社員が減給処分!処分は有効?東京高裁の判断

    東京高裁R7.10.8クレジットカードの加盟店募集業務を事業とする会…

  2. 判例・裁判例コラム

    配転命令を受けた従業員からの職種限定合意の主張が認められなかった事例

    大阪地裁R5.3.31製造業で30年以上システム課で勤務していた従業…

  3. 判例・裁判例コラム

    会社の要請に反する行動を理由とする降格

    仙台高裁R5.1.26基本給=等級給+評価給と定め、等級給は等級に応…

  4. 判例・裁判例コラム

    過半数代表選出にあたり無投票者は有効投票にみなすと定めた場合の効力

    松山地裁R5.12.20大学が過半数代表者選出規程に、信任投票で投票…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    「私傷病休職中の未徴収の社会保険料」 を退職金から天引きできる? 会社の主張を東…
  2. 判例・裁判例コラム

    大声で非難する発言を理由とするけん責処分
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整備を解説(令和6年11月1日施行)

    咲くやこの花法律事務所のこと

    【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 判例・裁判例コラム

    引越し会社で担当件数に応じて支給される業績給は労基法施行規則19条6号の出来高払…
  5. 判例・裁判例コラム

    労働者代表の同意を得て労基署長に届け出たが周知されていない就業規則に基づく懲戒解…
PAGE TOP