判例・裁判例コラム

試用期間中に逮捕・勾留された従業員を解雇した事案

東京地裁R5.11.16
建設会社に試用期間6か月、月給116万円の条件で雇用された従業員が試用期間中に逮捕・勾留された。従業員は、逮捕・勾留の事実を会社に告げずに、弁護士を通じて個人的事情により来週末まで休むとのみ連絡。有給休暇をすべて消化した後も5日半にわたって欠勤した。会社は勾留期間中に従業員を普通解雇。解雇後に従業員が不起訴処分により釈放され、会社は欠勤が逮捕・勾留によるものであったことを知った。
→犯罪の嫌疑による身柄拘束という高度にプライバシーにかかわる事項であるものの、欠勤する際に伝えるべきであり、個人的事情としか伝えなかった対応は不適切。会社からみれば、就労の意思すら不明であるし、無責任な人物と考えることは当然である。解雇有効と判断

中古車買取店の店長が管理監督者にあたるかが問題になった事案前のページ

ジョブ型雇用における能力不足解雇次のページ

ピックアップ記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  4. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    独自の休職基準を定める規定の効力

    東京地裁R6.9.25就業規則において、就労の可否は専ら使用者が指定…

  2. 判例・裁判例コラム

    賃金規程に基づいてした給与等級引き下げの効力について判断された事例

    東京高裁H19.2.22年功型賃金から成果主義賃金への変更にあたり、…

  3. 判例・裁判例コラム

    過半数代表選出にあたり無投票者は有効投票にみなすと定めた場合の効力

    松山地裁R5.12.20大学が過半数代表者選出規程に、信任投票で投票…

  4. 判例・裁判例コラム

    諭旨解雇処分を受けて提出した退職届の効力

    東京地裁R6.3.13設備工事業者の常務執行役員が外注先業者…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    送別会帰りのタクシーでのセクハラについて会社は使用者責任を負う?
  2. 判例・裁判例コラム

    形成外科医のオンコール当番待機時間は労働時間か?
  3. 判例・裁判例コラム

    タクシー会社で一定時間を超える駐停車時間は休憩時間と扱う旨を就業規則で定めること…
  4. 判例・裁判例コラム

    通勤中の電車内で盗撮行為を行った課長を懲戒解雇した事案
  5. 判例・裁判例コラム

    残業代の支払期日
PAGE TOP