判例・裁判例コラム

正社員は賞与5カ月、嘱託社員はゼロ →最高裁“それでも違法ではない”と判断

最高裁H30.6.1
運送会社で正社員には基本給の5か月分の賞与を支給する一方、定年後の嘱託社員には賞与を支給せず。
嘱託社員が、正社員と仕事内容は同じ(どちらもトラック運転手)であり、格差は違法と主張した
→賞与は、労務の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働者の意欲向上等といった多様な趣旨を含み得る。
嘱託社員は、定年退職後に再雇用された者であり、定年退職にあたり退職金の支給を受けるほか、老齢厚生年金の支給を受けることが予定され、その報酬比例部分の支給が開始されるまでの間は、会社から調整給(月額2万円)の支給を受けることも予定されている。
また、本件で、嘱託社員の賃金(年収)は定年退職前の79%程度となることが想定される。
そして、嘱託社員の月例賃金は、正社員よりも歩合給の係数が大きく、労務の成果が賃金に反映されやすくなるように工夫した内容になっている。
これらの事情を総合考慮すると、嘱託社員と正社員との職務内容及び人事異動の範囲が同じで、正社員に対する賞与が基本給の5か月分とされているとの事情を踏まえても嘱託乗務員に対して賞与を支給しない労働条件の相違は不合理であると評価することができない。
賞与不支給でも適法と判断。

賞与についての同一労働同一賃金は、裁判所での判断の予測が難しいテーマの1つです。
ポストの長澤運輸事件では、定年後に仕事内容が同じ事案で、定年後は賞与ゼロでも違法とは言えないとされました。
一方、名古屋自動車学校事件も、定年後に仕事内容が同じだった事案です。こちらは、以下のように定年後も一定の賞与を払っていましたが、それでも違法とされています(差戻後控訴審)
https://x.com/nobunobuno/status/2054313165106647270?s=20
(年収ベースでは、名古屋自動車学校のほうが格差が圧倒的に大きいという事情はありました)

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