東京地裁R8.2.18
リフォーム会社が給与規程を改定。
外勤営業職に基礎月収の20パーセント相当額を固定残業代として支給していた外勤手当を廃止する一方、基準内賃金として月7000円の外勤活動手当の規定を設けた。
→本件改定は、月額賃金の減少をもたらし得るものだから、労働条件を不利益に変更するものとして、その合理性を検討すべき。
この点、本件改定は、割増賃金の固定払いである外勤手当を廃止して実労働時間に応じた割増賃金の支払に改めるもので、その合理性が直ちに否定されるべきものではない。
特に、改定前の給与規程は、「労働時間を特定し難い外勤業務に従事する社員」を外勤手当の支給対象とし、内勤及び内勤類似業務をした場合には超勤手当を支給する内容だった。しかし、実際には外勤者についても実労働時間を管理しており、また、業務内容によって外勤手当と超勤手当の支給を分ける運用もされていなかった。 このように本件給与規程の外勤手当の規定は、実態とも乖離していたから、これを廃止する必要性は否定されない。
また、本件改定は、外勤手当を廃止するだけではなく、基準内賃金として月7000円の外勤活動手当を支給するもので、月の時間外労働時間が約24時間を超える大多数の従業員にとっては月額賃金の増加をもたらす。
さらに、会社は、本件改定について、組合との協議を経た上で、当初の予定の1年後に本件改定に至ったのであって、このような協議の経緯も本件改定の合理性を基礎付けるものである。
以上の事情を総合考慮すると、本件改定は、労働契約法10条に照らして合理性を有し、改定後の給与規程は雇用契約の内容となると判断。
就業規則変更による不利益変更については以下でも解説しています。あわせてご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/595.html
固定残業代を廃止して、実労働時間に応じた残業代の支払に切り替えたいという場面で参考になる裁判例です。
このような切り替えは、残業が少ない人の賃金減少につながるため、不利益変更にあたり、丁寧な労使協議と不利益緩和策が必要です。
この会社は、基準内賃金部分を一部増額することで不利益を緩和しつつ、固定残業代を廃止するという手法をとっています。
廃止が有効とされたのは、多くの従業員の残業代が固定残業代の額を超えて超過が発生しており、上記のような対応が多くの従業員にとっては月額賃金の増額をもたらす内容だったことが大きいように思います。
逆に言えば、固定残業代を廃止した結果、多くの従業員の賃金が下がるという場合に、就業規則変更による廃止 の有効性が認められるためには、企業経営が危機にあるといった事情が必要であると考えられます。






