判例・裁判例コラム

メンタル休職から復職して21か月後の秋田への転勤命令

東京地裁R5.12.14

保険業を行う一般財団法人が、適応障害で15か月休職していた職員を千葉支局に復職させた後、さらに21か月後に秋田支所に転勤を命じた。法人はこの職員の営業成績が不良であり、地方ほど未開拓で営業環境が良いため、営業成績向上のために転勤を命じたと説明

→地方支所の成績は年度により大きく変動しており、営業成績向上のために秋田に転勤を命じる合理性には疑問がある。職員は復職後欠勤はないが月1回千葉市内で通院しており、産業医は「4年間同じ主治医に通院しており主治医の変更は不利益が大きく現在の主治医への継続的な通院が可能になるよう配慮が必要」と意見している。それにもかかわらず、現在の主治医への通院に全く配慮せずに秋田への転勤を命じたことは職員に著しい不利益を負わせるもので権利濫用にあたり無効と判断

日本語能力の不足を理由に外国人大卒者を解雇した事例前のページ

派遣会社が派遣社員に競業避止義務を課すことに正当な目的はあるのか?次のページ

ピックアップ記事

  1. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  5. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用における能力不足解雇

    東京地裁H28.6.1海外証券会社の日本法人が営業職を解雇→本件労働…

  2. 判例・裁判例コラム

    業務命令に応じない従業員への対応事例②

    東京高裁H14.9.30上司の業務上の指示に従わない女性社員に対し、…

  3. 判例・裁判例コラム

    始業時刻前の出勤も賃金支払義務あり?さいたま地裁の判断

    さいたま地裁R4.7.29 看護師が早出残業の賃金請求。前時…

  4. 判例・裁判例コラム

    労働者の適性を判断する試用目的での有期雇用契約

    東京地裁R6.9.26広告代理店が人材紹介会社から紹…

  5. 判例・裁判例コラム

    パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力

    東京地裁H31.3.25 派遣会社が、就業規則で退職後に自社の機密情…

  6. 判例・裁判例コラム

    定年後再雇用 有期雇用の更新時に転勤を命じることの可否

    🚨定年後再雇用社員が更新時に賃下げor遠方勤務。応じなければ雇止め?…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    就業規則による民法536条2項の適用排除が認められた例
  2. 判例・裁判例コラム

    形成外科医のオンコール当番待機時間は労働時間か?
  3. 判例・裁判例コラム

    年下の女性上司に不満をあらわにし、大声を出して机を叩くなどといった威圧的な態度を…
  4. 判例・裁判例コラム

    能力主義的賃金制度導入の失敗例
  5. 判例・裁判例コラム

    派遣契約終了後も派遣先が見つからない無期雇用派遣社員に、賃金を切り下げたうえで派…
PAGE TOP