判例・裁判例コラム

「頭おかしいから。」「水商売やってた人間が。」などと部下を罵倒した支配人を普通解雇した事案

東京地裁R5.3.29
支配人が、部下である年長の従業員に対し、他の従業員の前で「年長者で、キャリアも長くて、何でトップになっていないの?常識がない、あいつには任せられないと思われている。」「頭おかしいから。」「水商売やってた人間が。」などと罵倒。会社はこの支配人を普通解雇。

→身体的特徴や経歴などをあげつらって侮辱したり、罵倒したりしているのであって、部下との信頼関係を破壊する言動である。現に、部下らは支配人との話し合いを拒み、事業運営に支障も出ている。しかし、会社が支配人の問題行動を知り指摘したのはこれが初めてで改善の可能性がないとまではいえないこと、懲戒処分をしたり、支配人から降格させたうえで一従業員として勤務させるという選択肢もあり得ること、会社には他にも事業部があるのに他の事業部への配置転換の可能性について十分に検討した形跡が見られないことに照らすと、これまで懲戒処分を受けたことがない支配人に対して解雇をもって臨むのはやや重きに失する。解雇無効と判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    65歳以降の従業員の雇止めは65歳までの雇止めとどう違う?

    東京地裁R7.3.11 道路工事会社が定年後65歳までは再雇…

  2. 判例・裁判例コラム

    現勤務先の利益より、元勤務先への義理を優先してよい?

    東京地裁R6.10.23不動産売買を事業とする会社の従業員が…

  3. 判例・裁判例コラム

    鳥取地裁R6.2.16

    何度も無理矢理キスをする等の犯罪レベルのセクハラをした部長を懲戒解雇…

  4. 判例・裁判例コラム

    不備のある定額残業代を就業規則変更によって有効にできる?

    東京地裁R6.2.19運送会社において多数の従業員が未払賃金請求。そ…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    給与規程、労働契約書に明記された固定残業代が裁判所で否定された事例
  2. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用の会社でジョブが廃止されたことによる整理解雇は有効?
  3. 判例・裁判例コラム

    退職勧奨を拒否した従業員にのみ在宅勤務を認めず、在宅勤務用パソコンを返却させたこ…
  4. 判例・裁判例コラム

    出来高払制賃金といえるためには自助努力が反映される賃金であることが必要か?
  5. 判例・裁判例コラム

    私傷病休職からの復職者の症状が悪化したときの対応〜休職期間がもう残っていない場合…
PAGE TOP