宇都宮地裁R6.1.12
公益通報後の配置転換の違法性従業員数約200名の製造業の会社(東京本社3名、宇都宮事業所138名、那須事業所64名)で、定年退職後再雇用され、宇都宮事業所で就業していた職員が会社代表者に提言書面を提出。会社が市に提出している排水データの改ざんが行われている、特別管理産業廃棄物を普通産業廃棄物として処理しているなどと指摘した。この職員はその9か月後に那須事業所への配転命令を受けた。職員は配転命令は公益通報を理由とする不利益取り扱いであり、公益通報者保護法に違反するとして慰謝料の請求をした。
→公益通報をしたことが認められるが、配転当時、那須事業所の環境部で退職予定者が出て人員配置の必要があったこと、本件職員が環境部に所属し、配転前から週2回那須事業所に通勤して作業等を行っていたこと、再雇用契約締結当初から業務上の都合による配置転換があるとされていたことからすると、業務上の都合により配置転換したとみることもできる。公益通報の時期と配転の時期が9か月以上あることもあわせて考慮すると、公益通報を理由とした不利益取り扱いであるとは直ちに認めることはできない。慰謝料請求認めず。