判例・裁判例コラム

65歳以降の従業員の雇止めは65歳までの雇止めとどう違う?

東京地裁R7.3.11

道路工事会社が定年後65歳までは再雇用社員、70歳までは契約社員として1年契約で有期雇用する制度を設けた。しかし、業績が、悪化したため、65歳以上の更新を厳格化して65歳以上の契約社員数名を雇い止め。うち1人が雇止めは無効であるとして訴訟を提起した。
→高年齢者雇用安定法において努力義務とされている65歳~70歳について、会社は再雇用社員とは別の雇用区分とし、「会社が必要として採用」する者につき雇用契約を締結または更新すると定め、65歳までとは明確に区分していた。そうすると、65歳までと65歳以降では労働契約更新の期待の程度に大きな差異があり、65歳以降について労働契約更新の期待をもつことが合理的というのは困難。また、本件の原告は65歳以降1回しか更新されておらず、その際に次回の更新はないと伝えられている。雇い止め有効と判断。

雇止め法理については以下でも解説していますのでご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/762.html

70歳まで雇用の会社も増えてきました。70歳までの再雇用制度設計について参考になる裁判例です。
65歳~70歳について、65歳までとは別の雇用区分とし、65歳以降は「会社が必要として採用」する者につき雇用契約を締結または更新すると定めていたことが、雇い止めが有効とされた理由の1つとしてあげられています。雇用契約書や就業規則において、適切な文言を使用することの重要さがわかります。
制度設計が不十分なまま、65歳以降の雇用が進んでいる会社もみられます。プロによる適切な制度設計が大切です。

年俸を80万円減額する合意は有効?東京地裁の判断!前のページ

仕事が同じなのに契約社員の基本給が正社員より3割低いのは違法?大阪高裁の判断!次のページ

ピックアップ記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  2. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  3. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  4. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  5. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    始業時刻前の出勤も賃金支払義務あり?さいたま地裁の判断

    さいたま地裁R4.7.29 看護師が早出残業の賃金請求。前時…

  2. 判例・裁判例コラム

    残業代の支払期日

    さいたま地裁H29.4.6就業規則で職員の給与について毎月末日締め当…

  3. 判例・裁判例コラム

    約半月にわたる無断欠勤について労働者が賠償を命じられた事例

    東京地裁R7.2.27ウェブサイトの制作等を事業とする会社の労働者が…

  4. 判例・裁判例コラム

    退職直前にメール約180通を削除した退職者の損害賠償責任

    神戸地裁R7.9.19営業部長兼営業担当取締役が退職直前の3…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    精神疾患からの復職にあたり、配転命令を拒否する従業員への対応事例
  2. 判例・裁判例コラム

    通勤中の電車内で盗撮行為を行った課長を懲戒解雇した事案(控訴審)
  3. 判例・裁判例コラム

    セミナー「ジョブ型雇用の就業規則の作り方とジョブ型雇用の裁判例」開催のお知らせ
  4. 判例・裁判例コラム

    懲戒解雇の通知後に行った予備的普通解雇が無効とされた事案
  5. 判例・裁判例コラム

    試用期間中に逮捕・勾留された従業員を解雇した事案
PAGE TOP