判例・裁判例コラム

運転手に支給する無事故報奨金は割増賃金の算定基礎に含める必要がある?

大阪地裁R6.9.13

業務用スーパーで配送業務に従事する運転手に会社は無事故報奨金を支給。当初は無事故の月ごとに2万円を支給していたが、その後、3か月間無事故の場合に6万円を支給する運用に改めた。従業員は残業代請求訴訟の中で、この無事故報奨金も割増賃金の算定基礎に含めるべきだと主張した
→労働基準法施行規則21条5号は、「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」を割増賃金の算定基礎から除外する規定を設けている。3か月間無事故の場合に6万円を支給する運用からすれば、無事故報奨金はこの「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」にあたるから、割増賃金の算定基礎に含めないことが認められると判断。一方、運用変更前は、無事故の月ごとに2万円を支給しており、割増賃金の算定基礎に含めることを要すると判断。

出典:労働判例ジャーナル154号

部下3名(正社員1名、派遣社員2名)の部長の管理監督者性前のページ

休職について説明したにすぎず休職を命じていないとされた事例次のページ

ピックアップ記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  2. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  3. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  4. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  5. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    長時間労働者に早く帰宅するように指導しても帰らない場合に会社がとるべき対応

    大阪地裁H20.5.26長時間労働のシステムエンジニアがうつ状態と診…

  2. 判例・裁判例コラム

    日常的な強い叱責がパワハラにはあたらないが安全配慮義務違反ありとされた事例

    徳島地裁H30.7.9銀行職員が自殺し、遺族はパワハラ自殺と主張。→…

  3. 判例・裁判例コラム

    懲戒処分としての降格に伴い基本給、役付手当を減額することは有効か?

    東京高裁R3.6.23タイムカードを改ざんした部長を懲戒処分として次…

  4. 判例・裁判例コラム

    就業規則の変更によっては変更されない労働条件の合意

    東京地裁H12.2.8会社が、1年間の有期雇用、賃金は年俸620万円…

  5. 判例・裁判例コラム

    サイボウズの記録に基づく残業代請求が認められなかった事例

    東京地裁R7.1.17建設業者で職人の手配や現場の管理などを…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    定年前の業務命令違反について定年後に懲戒処分できる?
  2. 判例・裁判例コラム

    パワハラ加害者による調査協力拒否、調査妨害を理由とする懲戒解雇の有効性
  3. 判例・裁判例コラム

    1件150円で朝9時から夜9時まで担当エリアの配送を担当する契約は労働契約?大阪…
  4. 判例・裁判例コラム

    1年単位の変形労働時間制を定める就業規則の不備
  5. 判例・裁判例コラム

    65歳まで継続雇用されるためには定年前に退職することを要する制度は高年法違反?
PAGE TOP