判例・裁判例コラム

通勤中に立ち寄ったコンビニで転倒して負傷した場合の労災請求

東京地裁R6.6.27
出勤途中で立ち寄ったコンビニ内で転倒し、腰椎捻挫等の診断を受けた会社員が、通勤災害にあたるとして労災請求
→店舗は店舗管理者の管理権限が及ぶ私的空間。これに買い物目的で立ち寄ったものであり、通勤のための移動行為とは明らかに目的が異なる。
また、店舗内に立ち寄ったのであるから通勤のために合理的経路をそれたといえる。
よって、通勤災害にあたらないと判断

労災認定基準については以下で解説していますので併せてご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/2549.html

本件で、裁判所は、コンビニエンスストアは、利用者ごとにその目的も様々であるが、いかなるサービスを受ける目的であったとしても、その利用行為は基本的に私的な行為であり、通勤のための移動行為とは独立した行為というべきであるとして、通勤労災を認めませんでした。
労働者保護の観点から、できるだけ柔軟に解釈してもらいたいところではありますが、コンビニで転倒するリスクは、通勤によるリスクとは別物であり、やむを得ない判断だと思います。
どこかで線引きが必要です。
通勤中に駅の売店で買った場合は、転倒した状況にもよりますが、また別の判断になっていた可能性もあるように思います。

通勤中の電車内で盗撮行為を行った課長を懲戒解雇した事案前のページ

採用内定後のバックグランドチェックの結果に基づく内定取り消し次のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  5. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    正社員に寒冷地手当を支給するが契約社員には支給しないことは違法?

    東京地裁R5.7.20日本郵便が正社員には寒冷地手当を支給するが契約…

  2. 判例・裁判例コラム

    残業許可制について厳格な運用をしていたと認められた事例

    東京地裁R3.6.30就業規則で21時以降の残業は事前の許可を要し、…

  3. 判例・裁判例コラム

    長時間労働者に早く帰宅するように指導しても帰らない場合に会社がとるべき対応

    大阪地裁H20.5.26長時間労働のシステムエンジニアがうつ状態と診…

  4. 判例・裁判例コラム

    人事考課に基づく降格・賃金減額の有効性

    東京地裁R4.1.31地道なテレアポ営業に熱心に取り組まず、…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    外注業者の費用負担による接待旅行への参加を理由に諭旨解雇!処分の効力は?東京地裁…
  2. 判例・裁判例コラム

    入社前に雇用契約書を作成すれば、試用期間2か月→雇用期間2か月に変更できる?
  3. 判例・裁判例コラム

    定年前の業務命令違反について定年後に懲戒処分できる?
  4. 判例・裁判例コラム

    売上額に応じて支給される業績給は労基法施行規則19条6号の出来高払制賃金にあたる…
  5. 判例・裁判例コラム

    約半月にわたる無断欠勤について労働者が賠償を命じられた事例
PAGE TOP