判例・裁判例コラム

雇用契約書に明記した固定残業代の主張が認められなかった事例

東京地裁R5.1.26
雇用契約書で「基本給16万円、職務手当18万円、皆勤手当1万円、職務手当はその全額を時間外・深夜・休日出勤割増分として支給される手当である」と定めた。

→基本給を時給に換算すると925円で、事業部マネージャーというこの従業員の地位・職責に照らして不自然なまでに低額。一方、職務手当は時間外労働割増賃金の月164時間分に達するが、36協定でも月80時間を超える時間外労働は予定されていない。これらの点からは通常の労働時間に対応する賃金が基本給のみと理解するのは無理があり、職務手当には通常の労働時間も含むマネージャーとしての職責の対価が含まれると認めるのが相当。そして、雇用契約書やその他の証拠によっても、職務手当について、通常の労働時間に対する賃金にあたる部分と割増賃金にあたる部分を判別できない。固定残業代が割増賃金に充当されるための要件である判別可能性が認められず、職務手当は割増賃金に充当されないと判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  4. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  5. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    定年後再雇用 有期雇用の更新時に転勤を命じることの可否

    🚨定年後再雇用社員が更新時に賃下げor遠方勤務。応じなければ雇止め?…

  2. 判例・裁判例コラム

    PIP実施方法の問題点が指摘され、解雇が無効とされた事例

    東京地裁R6.3.18前職でデジタルマーケティングを…

  3. 判例・裁判例コラム

    退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力

    大阪地裁R7.1.27放課後デイサービスを提供する会社が就業規則で「…

  4. 判例・裁判例コラム

    1年以上服薬せずに日常生活を送っていた休職者の復職可否判断

    名古屋地裁R3.8.23躁うつ病(双極性障害)で休職していた休職者が…

  5. 判例・裁判例コラム

    就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?

    東京地裁R5.12.14給与規程において、「業務内容の変更に伴い、そ…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    鳥取地裁R6.2.16
  2. 判例・裁判例コラム

    業務日報で始業・終業時刻を報告させていても、事業場外労働のみなし制を適用できる?…
  3. 判例・裁判例コラム

    営業担当者について退職後6か月間に限って同業他社への就職を禁止する誓約書の効力
  4. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整備を解説(令和6年11月1日施行)

    咲くやこの花法律事務所のこと

    【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  5. 判例・裁判例コラム

    ハラスメント調査に求められる中立性・公平性について判示した裁判例
PAGE TOP