判例・裁判例コラム

変形労働時間制採用のために就業規則に260ページにわたる別表を設けてシフトパターンを定めた事例

大阪地裁R4.2.22
1か月単位の変形労働時間制を採用のために、就業規則に、260ページにわたる別表を設けて始業時刻、終業時刻のパターンを定めた。そのうえで「社員の就業時間、各日の始業および終業時刻、所定労働時間並びに休憩時間については、別表による就業時間表により定める。毎月16日を起算日とする各月度の勤務交番表は、当月10日までに翌月度分を作成し、社員に明示する」と規定。

→1か月単位の変形労働時間制を採用するためには、すべての週及び日の所定労働時間の長さを特定することが必要。別表は1ページ当たり最大26パターンが示され、それが260ぺージにも及ぶ。別表の記載のみから、労働者が自己の始業及び終業時刻を読み取ることは困難だが、就業規則に基づいて作成される「勤務交番表」において、別表のパターンの中から勤務日ごとの始業時刻、終業時刻も定められているから、各日の所定労働時間は特定されている。変形労働時間制は有効と判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  4. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  5. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    有期雇用の従業員との退職合意

    東京地裁R6.2.29定年後再雇用された従業員が有期雇用の期間中に会…

  2. 判例・裁判例コラム

    熱中症で亡くなった従業員の遺族からの損害賠償請求

    福岡地裁小倉支部R6.2.13従業員がサウジアラビア出張中の屋外作業…

  3. 判例・裁判例コラム

    労災認定されたが損害賠償責任は否定された事例

    大阪地裁R6.9.12派遣社員が、派遣先のマネージャーからの…

  4. 判例・裁判例コラム

    就業規則による民法536条2項の適用排除が認められた例

    函館地裁S63.2.29タクシー会社が人身死亡事故を起こした乗務員を…

  5. 判例・裁判例コラム

    過半数代表選出にあたり無投票者は有効投票にみなすと定めた場合の効力

    松山地裁R5.12.20大学が過半数代表者選出規程に、信任投票で投票…

  6. 判例・裁判例コラム

    住民票記載事項証明書の不提出を理由とする解雇の有効性

    東京地裁R6.9.25会社が自社が雇用した清掃作業者に再三にわたり住…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    残業代の支払期日
  2. 判例・裁判例コラム

    会計資料の外部提供は「会社の重大な機密を社外に漏らしたとき」の懲戒解雇事由にあた…
  3. 判例・裁判例コラム

    リハビリ勤務の規定をおけばリハビリ勤務を認める義務がある?
  4. 判例・裁判例コラム

    就業規則の変更によっては変更されない労働条件の合意
  5. 判例・裁判例コラム

    うつ病での服薬治療等のみを理由とする退職勧奨が違法とされた事案
PAGE TOP