判例・裁判例コラム

営業活動に他の業者を帯同させた営業社員が減給処分!処分は有効?東京高裁の判断

東京高裁R7.10.8
クレジットカードの加盟店募集業務を事業とする会社の営業担当者が、営業先である13店舗に対する営業活動に際し、QRコード決済事業者である自身の夫を帯同させ、支店長から帯同営業が禁止行為であると伝えられた後もこれを継続したとして減給処分を受けた。従業員は減給処分の無効を主張。なお、会社はQRコード決済を取り扱っていなかった。
→会社は、帯同営業を禁止する趣旨の一つとして営業情報の同業他社への漏洩の防止を挙げる。この点、本件で会社が減給処分の対象とした13件の営業活動のうち、夫を同行して営業を行ったと認められるのは2件。他の11件は、夫の事業であるQRコード決済を紹介したにとどまり、夫を同行して営業したとは認められない。そうすると、11件については勤務時間中に業務外の行為に及んだ点において服務規律に反する側面を有するとしても、営業情報の同業他社への漏洩防止という観点から、帯同営業またはこれに準ずる行為と評価すべきということはできない。そして、会社の懲戒処分が軽い方から「譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨退職、懲戒解雇」の6種類であり、減給は軽い方から2番目ではあるものの、帯同営業が2件にとどまることなどを踏まえると、行為の一部が上司の指導後に行われたことなどの事情を踏まえても、減給処分は重きに失する。減給処分は無効と判断。

降格に伴う役職手当の減額は有効?前のページ

“休憩60分”が全部労働時間に!?割増賃金の支払命じた東京地裁R7.7.3次のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  4. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    マクドナルドの店長の管理監督者性

    東京地裁H20.1.28店長は、アルバイト従業員を採用する権限はある…

  2. 判例・裁判例コラム

    アスペルガー症候群に由来すると思われる問題行動を理由とする解雇

    京都地裁H28.3.29 大学が教員を採用。 勤務開始から約2年が経…

  3. 判例・裁判例コラム

    長時間労働者に早く帰宅するように指導しても帰らない場合に会社がとるべき対応

    大阪地裁H20.5.26長時間労働のシステムエンジニアがうつ状態と診…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    通勤中に立ち寄ったコンビニで転倒して負傷した場合の労災請求
  2. 判例・裁判例コラム

    復職後も意味不明な言動が続く社員。再休職命令は有効?裁判所の判断!
  3. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

    判例・裁判例コラム

    業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  4. 判例・裁判例コラム

    始業前の制服への着替え時間は労働時間にあたらない!東京地裁の判断の理由とは?
  5. 判例・裁判例コラム

    障害者雇用だと何も注意できない?「くしゃみするときは手を当てて」と指導した会社に…
PAGE TOP