判例・裁判例コラム

“休憩60分”が全部労働時間に!?割増賃金の支払命じた東京地裁R7.7.3

東京地裁R7.7.3
首都高速の緊急点検業務に従事していた従業員が割増賃金を請求。事故発生時は出動命令を受けることがあり、2勤務日に1回程度は実際に出動していた。就業規則に定められた60分の休憩時間中も常に出動命令に備える必要があったから、休憩とされていた時間も労働時間にあたると主張。
→休憩時間中も労働からの解放が保障されていたとはいえず労働時間にあたる。会社は休憩時間中に出動した場合は、事務所に戻った後に休憩をとらせていたと主張するが、その休憩中に再び事故が発生した場合は再出動を命じられていたと考えられるから、これも労働時間にあたる。毎勤務日の休憩60分について賃金支払命令

「会社は休憩時間中に出動した場合は、事務所に戻った後に休憩をとらせていたと主張するが、その休憩中に再び事故が発生した場合は再出動を命じられていたと考えられるから、これも労働時間にあたる。」の部分は、通達やこれまでの裁判例を踏まえると、こうなるとは思います。
ただ、この事案は、夜勤と日勤があり、日勤については、事故に備えて待機するのが仕事、実際の出動は2勤務に1回程度で労働時間のほとんどを待機で過ごしていたと思われます。それにもかかわらず一切休憩がとれていなかったと評価されてしまうのはなかなか厳しいなとも感じました。
使用者としては、法的な休憩をとらせるためにもう一人雇うか、あるいは休憩が義務付けられない6時間以内でシフトを回すしかないのでしょうか。人手不足時代にはもう少し柔軟な判断も必要ではないかと感じました。

営業活動に他の業者を帯同させた営業社員が減給処分!処分は有効?東京高裁の判断前のページ

院内携帯を持たされていた医師! 食事・仮眠も「全部労働時間」!東京地裁の判断!次のページ

ピックアップ記事

  1. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    退職直前にメール約180通を削除した退職者の損害賠償責任

    神戸地裁R7.9.19営業部長兼営業担当取締役が退職直前の3…

  2. 判例・裁判例コラム

    アルバイトをシフトに入れなかった使用者の責任

    東京地裁R6.3.26コロナ禍で休業していたラーメンチェーン…

  3. 判例・裁判例コラム

    朝礼で職員同士が仲が悪いと発言した代表取締役の不法行為責任

    東京地裁R6.11.13代表取締役が朝礼において、全職員の前…

  4. 判例・裁判例コラム

    始業前の制服への着替え時間は労働時間にあたらない!東京地裁の判断の理由とは?

    東京地裁R5.4.14ビルにおいて設備機器の操作・保守を行う設備員が…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    東京地裁R7.5.23
  2. 判例・裁判例コラム

    聴覚障害のある職員に対する配慮として会議の筆記サポートが必要?
  3. 判例・裁判例コラム

    試用期間中に逮捕・勾留された従業員を解雇した事案
  4. 判例・裁判例コラム

    当日欠勤・早退が続く従業員をシフトから排除は違法?→おにぎり店経営会社に賃金支払…
  5. 判例・裁判例コラム

    入社前日の電話で内定が取消しに! それでも「有効」とされた理由とは?
PAGE TOP