判例・裁判例コラム

就業規則に休職期間の延長規定を設けた場合の効力

大阪地裁R3.7.16
社会福祉法人が就業規則で私傷病休職の期間について、「勤続1年以上の者」は「1年」と定め、「但し、疾病の状況により1年延長することがある」と定めた。休職中の職員が休職期間満了間際の時期に複数回にわたり休職期間延長を申し入れたが、法人は応じられない旨回答。休職期間を延長しないまま期間満了により退職扱いとした。これに対し、職員は、法人が延長を重ねて長期の休職を認めた例もあり、「職員には休職期間の延長により雇用が継続するものと期待する合理的な理由がある、法人が休職期間を延長しないことについて客観的に合理的な理由は認められない」などと主張した。
→法人において一般に休職期間が延長されている事実は認められず、また職員は休職期間満了の時点では回復の見込みも明らかになっていなかったことを踏まえれば、職員が休職期間の延長について合理的な期待を有していたとはいえない。従って、休職期間を延長するか否かは専ら法人の裁量に委ねられているというべきであり、職員の主張は採用できないと判断
労働判例ジャーナル117号

有給取得取得予定日前日の時季変更権行使前のページ

出勤停止の懲戒処分通知書を従業員が返送した場合の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  3. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  4. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  5. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    ジョブ型雇用における能力不足解雇

    東京地裁H28.6.1海外証券会社の日本法人が営業職を解雇→本件労働…

  2. 判例・裁判例コラム

    支払いすぎた賞与を翌年の賞与から控除できる?

    東京地裁R5.12.28外資系の医薬品販売会社が、従業員に対し、9月…

  3. 判例・裁判例コラム

    鳥取地裁R6.2.16

    何度も無理矢理キスをする等の犯罪レベルのセクハラをした部長を懲戒解雇…

  4. 判例・裁判例コラム

    職種限定合意がある従業員に対する配転命令

    最高裁R6.4.26社会福祉法人が福祉用具の改造・製作を行う技術者を…

  5. 判例・裁判例コラム

    給与振込担当者が自分の給与を勝手に増額させていたとして懲戒解雇された事案

    東京地裁R6.2.21一般社団法人で職員の給与の振込手続を担当してい…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    名古屋地裁R5.1.16
  2. 判例・裁判例コラム

    朝礼で職員同士が仲が悪いと発言した代表取締役の不法行為責任
  3. 判例・裁判例コラム

    私傷病休職からの復職者の症状が悪化したときの対応〜休職期間がもう残っていない場合…
  4. 判例・裁判例コラム

    産休からの復帰に際し、週5勤務から週1勤務に変更することを提案したことが適法とさ…
  5. 判例・裁判例コラム

    派遣会社が予定していた契約を得られなかったことを理由に行った内定取消の効力につい…
PAGE TOP