東京地裁R6.7.18
外資系のコンサルティング会社が採用内定後にバックグランドチェックを行い、その結果を踏まえて内定者の採用を取り消した
→単に、履歴書等の書類に虚偽の事実を記載しあるいは真実を秘匿した事実が判明したのみならず、その結果、労働力の資質、能力を客観的合理的に見て誤認し、企業の秩序維持に支障をきたすおそれがあるものとされたとき、又は、企業の運営に当たり円滑な人間関係、相互信頼関係を維持できる性格を欠いていて企業内にとどめおくことができないほどの不正義性が認められる場合に限り、内定を取り消すことができる。
この点、会社のバックグラウンドチェックの結果によると、内定者には内定前の直近約1年間に約3か月の職歴の空白期間があり、また、直近約1年間に雇用されていた会社を退職したうえで、空白期間後別の会社に採用され再度退職している。しかし、この空白期間や両社での雇用について全く履歴書に記載しておらず、背信行為といわざるを得ない。
また、その動機は、両社のうち1社からは雇止めされて紛争になっており、もう1社からは試用期間中に普通解雇されて紛争になっていることから、これを隠そうとしたものであると推認され、背信性の程度は高い。
これらの事実は、会社による採否の判断において従業員としての適格性に関わる重要な事項たり得るものであったといえる。また、経歴詐称の程度は、その他の点も含め、履歴書に記載された期間の半分近くを占め、履歴書の提出意義を失わせるものである。内定取り消しは有効と判断