判例・裁判例コラム

日報を提出しない従業員に対するけん責処分

東京地裁R6.5.30
営業所長の再三の提出指示にもかかわらず、営業日報を4か月以上にわたり提出しなかった営業社員について、会社がけん責の懲戒処分。「懲戒は原則として社内に公示する」と定めた就業規則に基づき、けん責処分を社内に公示した。
→日報は営業活動の管理のための重要な資料であり、提出がされなければ営業所の営業活動の掌握に困難をきたす。このような日報提出の重要性に加え、営業所長からの複数回の命令にも応じないまま4か月以上も提出を怠り続けたことなどからすると、けん責処分は有効。社内での公示も、就業規則に基づく措置であり、公示内容が真実であり、公示期間も4日程度であるから、従業員の氏名が掲載されていたとしても、会社は不法行為責任を負わないと判断。

パソコンの共有フォルダに保存した就業規則の効力前のページ

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力次のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  3. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  4. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  5. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    覚醒剤使用で懲戒解雇された従業員の退職金不支給についての判断事例

    東京地裁R5.12.19鉄道会社が覚醒剤使用で有罪判決を受けた車両検…

  2. 判例・裁判例コラム

    夏季休暇が「休日」なのか「休暇」なのか、が争点になった裁判例

    東京地裁H30.7.18就業規則で土日祝と年末年始を所定休日と定めて…

  3. 判例・裁判例コラム

    会社はどこまで注意喚起すれば安全配慮義務を果たしたといえる?

    福井地裁R3.5.11従業員が工場で使用していた発がん性の薬剤が原因…

  4. 判例・裁判例コラム

    不備のある定額残業代を就業規則変更によって有効にできる?

    東京地裁R6.2.19運送会社において多数の従業員が未払賃金請求。そ…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    試し勤務の提示を拒否した従業員の復職可否判断
  2. 判例・裁判例コラム

    日報を提出しない従業員に対するけん責処分
  3. 判例・裁判例コラム

    スマホの位置情報を示すGooglemapのタイムライン記録を証拠に残業代を請求さ…
  4. 判例・裁判例コラム

    適格退職年金から中退共への移行
  5. 判例・裁判例コラム

    給与担当者が情報を他の職員に漏らしたことに対する叱責がパワハラにあたるとされた事…
PAGE TOP