判例・裁判例コラム

試用期間中に2回の事故を起こし、ミスも改善されない従業員を実働10日で解雇した事案

東京地裁R6.9.18

製造業の会社が、試用期間中に2回の事故を起こした機械加工の作業者を実働10日で解雇

→業務上、加工品の寸法の計測が正確に行われることが必要かつ重要であり、作業のミスは、作業者や周囲の従業員に怪我をさせたり、機械自体を毀損したりする危険がある。会社は、従業員に寸法計測の重要性や作業の危険性を説明・指導している。その作業は、単純なものであるし、従業員は、その職歴において、加工作業や測定作業の経験があり、ミスの改善に困難な事情があったとはいえない。それにもかかわらず、実働3日目頃以降、指導担当者や会社代表者から注意指導を繰り返し受けていながら、ミスを繰り返している。加工作業における2度目のミスは機械の芯をずらしてしまうほどの事故につながっており、寸法の計測ミスについては解雇時まで改善されていない。以上からすれば、従業員は、業務に関する資質や適格性等を欠いている。実働日数10日で解雇されたという事情を踏まえても、解雇は有効であると判断

シフト表の記載による休日の振り替え前のページ

ピックアップ記事

  1. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  2. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  3. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  4. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  5. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    調剤薬局で患者の感情を害する言動をする薬剤師を解雇した事案

    大阪地裁R6.2.22調剤薬局が経験者の薬剤師を採用。履歴書には「前…

  2. 判例・裁判例コラム

    覚醒剤使用で懲戒解雇された従業員の退職金不支給についての判断事例

    東京地裁R5.12.19鉄道会社が覚醒剤使用で有罪判決を受けた車両検…

  3. 判例・裁判例コラム

    全国に点在する労働者の一斉解雇

    東京地裁R3.12.21全国に300店を擁する居酒屋チェーンが、コロ…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    長時間労働者に早く帰宅するように指導しても帰らない場合に会社がとるべき対応
  2. 判例・裁判例コラム

    会社はどこまで注意喚起すれば安全配慮義務を果たしたといえる?
  3. 判例・裁判例コラム

    他の勤務先での就業状況を知らなかった場合でも通算による割増賃金の支払義務があるか…
  4. 判例・裁判例コラム

    セミナー「ジョブ型雇用の就業規則の作り方とジョブ型雇用の裁判例」開催のお知らせ
  5. 判例・裁判例コラム

    1000円の着服をした運転手の退職手当1200万円超を全額不支給にした事案
PAGE TOP