判例・裁判例コラム

就業時間外の性犯罪による懲戒解雇

東京地裁R6.10.25

上場企業の営業社員が退勤後に同僚と飲酒した後、自宅最寄駅で見ず知らずの女性に声をかけ不同意わいせつ行為に及んだ。逮捕されたが140万円払って示談した結果、不起訴となった。会社はこの社員を懲戒解雇。社員は私生活上の非行であり、会社名の報道もされておらず、会社の社会的評価の低下はないから懲戒解雇は無効であると主張した
→社員は営業職で取引先や一般消費者との接点もある。会社はミッションステートメントを制定して法を遵守するという行動指針を明らかにしているところ、本件行為はこの行動指針にも明らかに反する。本件行為は氏名とともに報道されており、会社の社会的評価の毀損をもたらす。社名が報道されなかったことは本件行為に対する評価を左右するものではない。不起訴となったことを踏まえても懲戒解雇は有効と判断。

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