判例・裁判例コラム

退職勧奨に応じない社員に対する休業命令は適法?東京地裁の判断

東京地裁R7.9.11
在宅勤務の従業員が、代表者に相談なく、会社の重要な取引先に、謝罪を求めるメールを送信。この従業員は、過去にも繰り返し複数の取引先とトラブルを起こしていた。会社はこの従業員に退職勧奨を行ったが、従業員は、退職には応じないと回答し、裁判所での解決を求めると発言。3日後、会社は、この従業員に1か月間の会社都合による休業命令を発令し、社員証、貸与パソコン等の備品を返却させた。
→従業員の自由な意思決定を侵害するような違法な退職勧奨があったとまではいえない。しかし、会社が発令した休業命令は、従業員が裁判所での解決を求めると発言したことが一つのきっかけとなっており、貸与パソコンのみならず社員証を返却させていることからすると、もはや退職に追い込む意図が存在したことがうかがえる。休業命令は合理的な理由を認めることができず、業務命令権を濫用したものであり、違法な不法行為であると判断

本件では、1か月間の休業命令+貸与パソコン等の返還命令にとどまらず、社員証の返還までさせたことが、退職に追い込む意図があったと判断され、不法行為と判断される決定打となったように思います。また、休業命令の期間中の賃金も満額の支払いはされていなかったようです。
ただ、適法か違法かはともかく、複数の取引先とトラブルを起こしている従業員に1か月間の休業命令を出しても、問題はなにも解決しません。1か月たてばまた会社に戻さざるを得なくなるからです。
場当たり的なとりあえずの休業命令で逃げの一手をうつのではなく、問題に向き合って本質的な対応をする必要がありました。在宅勤務の従業員に休業命令を出すのではなく、むしろ出社を命じる必要がありました。具体的にどう対応すべきかは、私の書籍「問題社員トラブル円満解決の実践的手法」もご参照ください。
この会社は、結局、出口の見えない休業命令を繰り返したうえで、問題の従業員を普通解雇していますが、解雇無効ということで敗訴し、800万円を超えるバックペイの支払いを命じられる結果となりました。
正しい対応については以下もご参照ください。https://kigyobengo.com/media/useful/2286.html

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