判例・裁判例コラム

1000円の着服をした運転手の退職手当1200万円超を全額不支給にした事案

最高裁R7.4.17
京都市交通局に勤務するバス運転手が運賃1000円を着服。交通局はこの運転手を懲戒免職処分とし、退職手当1211万円を全額不支給とした。大阪高裁は、全額不支給は酷に過ぎ、違法と判断。交通局が最高裁に上告した。
→公務の遂行中に職務上取り扱う公金を着服したというものであって、それ自体、重大な非違行為。バスの運転手は、乗客から直接運賃を受領し得る立場にある上、通常1人で乗務することから、その職務の性質上運賃の適正な取扱いが強く要請される。着服金額が1000円であり、弁償が行われていることや、約29年にわたり勤続し、その間に一般服務や公金等の取扱いを理由とする懲戒処分を受けたことがないこと等を考慮しても、全部不支給処分を取り消すべき理由はないと判断

退職後6か月間、半径2キロ以内での独立開業を禁止する競業避止規定の効力前のページ

業務に消極的な態度をとり、執務態度を改めない従業員の解雇次のページ

ピックアップ記事

  1. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  2. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  3. 232名が一斉に退職前の有給消化を申請した場合に時季変更権行使が認められる?(大…
  4. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  5. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    職場内の人間関係を理由に休職者の復職を認めないことは可能?

    大阪高裁H27.2.26双極性障害による休職からの復職を認められなか…

  2. 判例・裁判例コラム

    退職直前にメール約180通を削除した退職者の損害賠償責任

    神戸地裁R7.9.19営業部長兼営業担当取締役が退職直前の3…

  3. 判例・裁判例コラム

    通勤中に立ち寄ったコンビニで転倒して負傷した場合の労災請求

    東京地裁R6.6.27出勤途中で立ち寄ったコンビニ内で転倒し、腰椎捻…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    復職可否の立証責任
  2. 判例・裁判例コラム

    作業中にスズメバチに刺された事故は使用者の安全配慮義務違反?
  3. 判例・裁判例コラム

    労災認定されたが損害賠償責任は否定された事例
  4. 判例・裁判例コラム

    日報を提出しない従業員に対するけん責処分
  5. 判例・裁判例コラム

    雇用契約書に明記した固定残業代の主張が認められなかった事例
PAGE TOP